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ジャン・ティロール フランス・トゥールーズ第1大学教授

ノーベル経済学賞を2014年に受賞し、日本でも『良き社会のための経済学』(日本経済新聞出版社刊)が話題になった、フランス・トゥールーズ第1大学教授のジャン・ティロール。

気候変動、格差・分断、グローバリゼーション、デジタル革命……。世界は劇的に変化し、そのスピードはますます加速している。予測不可能な時代、私たちはいかに世界を捉え、行動すべきなのか。2020年の始まりを目前に、2019年12月25日発売のForbes JAPAN(2020年2月号)で、世界の知の巨人や気鋭の経済学者たちにとともに、来るべき新しい世界を考える特集を企画。今回は、ティロール教授の最新論文(日本語版未発表)について、独占インタビューした。


20代のレイシーは常に笑顔で、ちょっとした親切を欠かさない。彼女は、自分の「社会的スコア」を5つ星に近づけるべく絶望的な戦いをしているからだ。人々がお互いを格付けしあう「社会的スコア」が支配する未来社会。悪口や暴力はスコアの低下で罰せられ、住む場所や移動手段も制限される。街は善行と笑顔にあふれるが、星の数で人は信用できるのか? そんな未来は「善」なのか?


2016年10月にNETFLIXで公開された「ブラック・ミラー」第3シリーズ、第1話「NOSEDIVE」予告編。

上記は、オンライン動画サービスNETFLIXの人気ドラマシリーズ「ブラック・ミラー」のエピソード、NOSEDIVEの一コマからだが、この未来ドラマを引用した、一風変わったエッセイが10月に発表された。『デジタル・ディストピア』と題されたその学術論文では、こんな一文が入る。

「このエッセイは、(社会)サイエンス・フィクション(SF)実験として読んでもらうのがもっとも適切だろう」

執筆者は2014年にノーベル経済学賞を受賞したジャン・ティロール(66)だ。なぜ経済学の論文でSF実験なのか。

ティロールは、マクロ経済学からゲーム理論、産業規制論までその幅広い関心と研究内容で知られるが、経済学の目的とは「共通善」にあると説く。著書の『良き社会のための経済学』(日本経済新聞出版社刊)は日本でも話題になったが、「経済学は共通善に尽くし、世界をより良くすることをめざす」と前文で述べている。

社会的スコアが支配する世界で人々はどのように行動するのか。デジタル経済において、社会的スコアは共通善の達成に貢献するのか。SF思考実験を通じて、将来的な社会の課題に備えるのがこのエッセイの目的だ。

イラストレーション=Paul Ryding

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