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ふたつ目の事例はLGエレクトロニクスが出展したAIバーチャルフィッティング「LG ThinQ Fit」だ。昨年秋に欧州で開催されたエレクトロニクスショーに参加したLGが発表したコンセプトが、早くも今年、韓国や米国で商用化に向けてローンチされるという。

ThinQ(シンキュー)はLGが独自に開発したAIアシスタントとクラウドプラットフォームの総称だ。LGが提案するバーチャルフィッティングの仕組みは、3Dカメラで人物のボディサイズを瞬時に計測して、データを元に作成したCGの“アバター”に衣服を着せ替えてバーチャルフィッティングを実現するというものだ。


LGエレクトロニクスが開発したAIを搭載するバーチャルフィッティング「LG ThinQ Fit」。BtoBカスタマー向けに今年出荷を開始する

カメラがキャプチャした画像データを元にしたアバターは10秒前後で生成され、ディスプレイに表示される。LGでThinQ Fitの開発に携わるスタッフは、5Gの高速通信を利用すればこの間の時間がさらに短縮できると話す。

店頭に足を運んで試着することが後悔しないショッピングへの一番の近道かもしれない。だが、例えば店頭では在庫を切らしている商品を後から取り寄せたり、そもそも遠方からショップまで足を運べない場合は、自宅にいながらブランドのカタログに揃う商品を試着してコーディネートも検討できる。


アバターの情報をThinQ Firアプリに転送して、自宅でバーチャルフィッティングとショッピングが楽しめる

一度店頭に足を運んで作成したアバターは、ThinQ Fitのモバイルアプリに転送もできる。アパレルブランドはThinQ Fitを導入して、顧客が自宅でカタログを見ながらフィッティングの続きを吟味できるサービスモデルを構築できれば、顧客を囲い込んで売上増を図る絶好のチャンスが訪れるだろう。

数年前にはITの見識者たちも「AIが人間と肩を並べるほどの知能を獲得すれば、人間の仕事がAIに奪われるかもしれない」といったサイエンスフィクションのような議論を交わしていたものだ。今のAIは人間が期待する通りに、人間の感覚と豊かな暮らしを拡張するパートナーとして健やかに成長を続けているようだ。

文・写真=山本 敦

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