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塩田:クリエイティブの世界で長く続けられる秘訣って何かあるんですか?

川村:クリエイターというのは「作品を作りたい人」か「自分が有名になりたい人」の2種類しかいないような気がします。どちらもモチベーションとしてはアリだと思いつつ、後者の人はいなくなってしまうケースが多い。それだけ「創り続ける」ということは大変なことなんだなと思います。

綺麗事じゃなく、小説が売れたら編集さんのおかげだし、映画がヒットしたら監督や俳優の力だと思うんです。でもその代わり、当たらなくても僕だけのせいじゃないって思うようにしている。だから調子にも乗らないし、落胆もしすぎない。おかげでずっと作り続けられていると思っています。

究極エンタメはなくても人間は生きていける。死活問題だから映画作ってくださいなんて、誰かに頼まれているわけでもないのに、押し付けがましく作品を作っている。でも意味がないようなことに、一生懸命意味をもたせるような行為が好きなんです。

経営者は優柔不断であれ

川村:そもそも優柔不断なのがいいと思ってるんです。決めちゃったらもう他の選択肢がなくなっちゃうから。経営者も、優柔不断である方がいいと思ってる。「昨日はこう言ったけど、今日はこう思ってる」くらいに言えちゃった方が強いと思うんです。はっきりさせたい部下は迷惑かもしれないですけど、遊びとかゆらぎの部分があるべきだと思う。それって、自分を疑い続ける作業でもあるから。

塩田:僕もすぐ迷っちゃうからすごくわかる。決めてからも、やっぱやめようかなって思うことありますよ。でも経営者仲間たちは頑張って決断しようとしてますね。



川村:「小説を校了する」「映画を公開する」といった締切までいくと、さすがにもう悩まないですよ。決めるタイミングはそこ。でもそれまではひたすら悩んでいいと思う。ひたすら自分のことを疑い続ける。スタート時の感覚は合っているのかな、違う作り方はあるのかなって。下手したら2年くらい悩んで迷って疑い続けながら作る。そうしないと世に出すものになかなかならない。

歴史を振り返ると中国の知将も日本の武将も、即断即決の人より優柔不断の人が勝っている。即断即決の人はヒロイックだけれど、負けてます。正直、クリエイティブ業界ですごいなと思う人で、即断即決する人ってあまりいないと思います。

塩田:本を書いて以来、いろんなインスピレーションが湧いていたんですけど、今日元気さんの話を聞いて、ますますモノづくりをしたくなりました。

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構成=井澤梓 写真=柴崎まどか

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