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川村:それは自身で一度切り拓けたからですよね。ハートドリブンが喜劇だと思うのは、いま塩田さんが辛い時期を抜けて楽しそうだからですよね。 



人生の本で好きなのは、「ここで挫折し、気づき、立ち直ったんだな」という人生のアップダウンを外から覗けること。自分の体験と重ね合わせると、痛みもわかるけど、痛みを味わなくていい。そこがいいですよね。本を出して、塩田さんはこれからまた挫折することもあるんだろうけど、また立ち直る。それがさらに良いストーリーに昇華される気がしますね。

塩田:きっともう一度挫折ありますね(笑)。元気さんとの出会いは、弊社主催のセミナーに登壇いただいたときですよね。

川村:塩田さんは、初対面から感情表現豊かで「これはなかなかメンヘラだな」って思ったのを覚えています。ハートドリブン出版してから、メンヘラ度が増してるよね(笑)

塩田:え、本当ですか!?  メンヘラって思われてたの?



川村:僕も人のこと言えないくらい不安定なときも多いので、すごくよく分かるんです。しかも小説を出版するたびに酷くなっている。本を書くって行為は、自分の強みにも気づけるけど、同時に弱さとも向き合う行為でもある。

書けば書くほど、弱さが見つかっていく。感情の振れ幅が大きくなる。躁鬱の幅が広がって辛くても、それでも書き続けるってある種のメンヘラですよね(笑)

塩田:良かった、元気さんもメンヘラなら安心しました(笑)おっしゃっていること、わかります。ハートドリブンを書いていたときは辛くて、早く終われって思っていたのに、書き終わるとまた書きたくなってる。書いたことでいいも悪いも含め、自分の感情に敏感になりましたね。

短期的な「いいね」に振り回されたくない

塩田:ちなみに、僕は元気さんの言葉がめちゃくちゃ刺さるのですが、元気さんはSNSをやらないんですか?

川村:スタッフがやっているツイッターはあるのですが、自分ではやらないようにしています。臆病者なので、他人の「いいね」がすごく気になっちゃうだろうから...本当に自分が「いい」と思っているものを深掘りして作れなくなる気がするんです。映画にしても小説にしても、自分が「いい」と信じた作品が完成するまでにすごく時間がかかる。その間に、気づきやアイデアをSNSで発信しちゃうと、作品のダシが抜けちゃう気もする。

塩田:過程の反応は気にしないんですね。

川村:そう。だから世の中の反響を受けながらつくる作品って、僕には向いていない気もするんです。例えば、連ドラとかがそうです。作っている途中で、感想が耳に入ってきたら、その声に負けてしまうと思う。そんな自分の弱さに気づいているから、あえてやっていないとも言える。

塩田:なるほど。その感覚わかります。本の出版にあたってツイッターを始めたんですけど、向いていない気がしてます。自分の考えを思いついてすぐに発信しちゃうと、深く考えることができない。やっぱり反応が来たら気になるし、大きな共感を狙いに行くような投稿も探してしまう。SNSに自分が消費されちゃう感覚があるんです。

構成=井澤梓 写真=柴崎まどか

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