燃料電池とEVはどちらも電力で駆動し、モーターをはじめ多くの部品が同じだ。違いは、EVが電気を蓄電池に蓄えるのに対し、燃料電池は水素と酸素の化学反応から発電することだ。燃料電池は、車やトラック以外に長年NASAが使用してきたほか、定置式の発電機や電車、船舶、フェリーなどに用いられてきた。
「燃料電池は非常に優れているが、コストを下げるにはボリュームが必要だ。我々は、傘下にフレイトライナーやメルセデスのトラック部門、アジアのブランドを持つ世界最大のトラックメーカーであり、世界で大きなシェアを保有している」とシェーファーは述べた。
ダイムラーは、モジュールシステムによって同じ燃料電池を使い、車両のサイズや走行距離に応じて搭載量を増減させることを目指しているという。「今後2〜3年以内に商用のバスやトラックをリリースできるだろう」とシェーファーは語った。
燃料電池を搭載するのは、大型車両ばかりではない。建設機器やロボティクス、脱塩技術を手掛ける韓国の「Doosan Mobility Innovation」は、燃料電池を搭載し、長時間飛行を実現したドローンを開発してCESの「イノベーション・アワード」を受賞した。
Doosan Mobility Innovationの「DS30」は、独自開発した小型で軽量な燃料電池を搭載し、1回当たり最大2時間飛行することができ、バッテリーモデルの3倍のエネルギー密度を持つという。