今回はアマゾン ジャパン立ち上げメンバーの一人である筆者のシアトル訪問4日目、「IT企業のゆりかご」ともいうべきこのマイクロソフト社と、ITスタートアップ企業の育成をミッションとする現地NPO「WTIA」をレポートする。「シアトルイノベーションツアー」最終回である。
アメリカ北西部の最北に位置するワシントン州の州都、シアトル。今はアマゾン、スターバックスといった多くの世界的企業がひしめく、アメリカでももっとも成長著しい街である。筆者が、日本経営合理化協会主催の「シアトルイノベーションツアー」団長としてこの地を訪れたのは、令和元年を迎えたこの6月のことだった。
「シアトルイノベーションツアー」
第1回 専用機で運ばれるアマゾン プライム会員向け貨物
第2回 ベゾスが「アジェンダを破り捨てた」伝説の会議室
第3回 ジェフ・ベゾスが「アイスベアの骨格標本」に秘めた決意
第4回 「アマゾン誕生の地」でユニコーンを目指す新星3社
シアトル訪問最終日。長かった今回の旅もいよいよ最終日となった。今日はシアトルのスタートアップ企業の先駆けであり、全てのIT企業のゆりかごとなった企業、マイクロソフトを訪問した。
本社には一般の人でも自由に出入りできるビジターセンターがあり、そこは筆者も以前訪れたことがあるが、今回は訪問はそれとは違って少し特別だった。今回、現地でガイドをしてくれたトモさんの夫君であるオラフ・アンジー氏全面協力の下、普段は絶対入ることのできないマイクロソフトの内部も見学することが出来たのだ。文字通りの、「潜入」である。
創業者ビル・ゲイツとポール・アレンの名刺の拡大コピー
まず初めにアンジー氏から、マイクロソフトの製品とそのコンセプトについての説明があった。アンジー氏は長年、アップル向けオフィスシリーズの開発に携わってきた人だが、単にオフィスプロダクツの話ではなく、そもそものライバル会社であるアップルやその他のOS向けに、マイクロソフトが現在どのように考え、製品開発を行っているかなどの話も聞かせてもらった。
アップル社向けのオフィスプロダクツは10年以上も前から発売されているが、そのベースとなるプログラムは全てmacOS向けに独自で書かれたもので、Windows版との互換性などは無視して作られてきた。
ところが現CEOサティア・ナデラ氏がその職を担うようになってから、その方針は大きく変更された。現在では、全ての対応OSに対して提供されるオフィスプロダクツは、あまねく共通のプログラムをベースとして作られているのである。その大きな変革の重要なキーとなったのが同社のミッションステートメントであると、アンジー氏は説明してくれた。