ビジネス

2020.01.14

最初にやるべきは血まなこで「宝のありか」仮説を立てる事|SHOWROOM 前田裕二

SHOWROOM 代表取締役社長 前田裕二


──本当は中の方が大事なんですけど、みんな勘違いしている、と。

そうですね。コンテンツは、表に出ていて一見してわかりやすいですから、みんなだいたいそちらに目を向けてしまう。繰り返しですが、本質はチームの仮説思考・構築の力にあると思っています。『イシューから始めよ』という、安宅和人氏の有名な本がありますけど、それでいうところのイシュードリブンの考え方かなと。解くべき問題を速く正確に見つけるのが得意なんです。

例えば、宝の山が眠る鉱山を今から掘って、宝石を探り当てるレースをするとします。おそらくほとんどの人が「俺の筋力を見よ」って感じで、パワーで下から全部アナログに掘る、みたいなことをやる。掘ってる時は、自分でも仕事してる感すごくあるし、思考停止して掘り続ける。そんな中、我々は、掘らずに山の麓にある街の長老にヒアリングに行ったり、宝石のありかの地図や宝石探知機のようなものを探してきたり、まずは「見極め作業」に全神経を集中します。

その例えで考えると当たり前なんですけど、実際の仕事において、掘るべき場所はここだぞ、解くべき問題はここだぞ、ということをちゃんと見極めることにまず集中して、その後で掘ってるケースは、実はすごく少ないと思います。

──私たちの会社(DI)ではそれを「論点設定」って言うんですよ。おっしゃる通り、どこに問いを立てるかが極めて大事で。

なるほど、「論点設定」。かっこいいですね。使います(笑)。

僕自身も、SHOWROOMの全メンバーも、今後も論点設定から始めるスタイルを磨いていきます。掘る必要のない場所を掘っているほど、一人の人生には時間がないですから。

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トップコンテンツの取り込みに対する周囲の反対

論点設定がなぜうまくやれるか。一つは、投資銀行の時の経験が生きていると思います。自分自身、日本株のリサーチセールスという仕事をやっていたので、おびただしい数の会社が持つビジネスモデルを研究して、なぜうまくいくのか、或いはいかないのか、というのを日々仮説検証する必要がありました。この投資銀行時代の3年間で、論点設定力が相当磨かれたと思っています。

もちろん我々の「日本発世界一のライブストリーミングサービス」という目標からすると、まだ1合目にも到達していませんが、ここまでのSHOWROOMの成長については、この論点設定の力がかなり効いていると思います。本質を見極めるスピード及びそのクオリティが高く、そして、見極めた後のドライビングフォース、原動力がとても強いって話しましたけど、そういうことだと思うんですよ。
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文=小縣拓馬 提供元=Venture Navi powered by ドリームインキュベータ

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