ブレイクリーは「一部のグーグルの取締役たちが、女性を食い物にする行為が日常的になりつつある」と、厳しく非難した。それから6カ月を経て、グーグルの法務部の最高責任者は辞職を表明した。
ドラモンドは昨年8月のバズフィードの取材に対し、自身が「完璧からほど遠い人物」であると認めつつも、グーグルやアルファベットの社員と不適切な関係を結んだことは無いと声明で述べた。一方で、一部報道でドラモンドは昨年9月に別のグーグル社員と結婚したと報じられている。
グーグルではここ最近、社内の抑圧的な企業カルチャーに対する批判が高まっており、ドラモンドの辞任を受けて、CEOのサンダー・ピチャイは社内のカルチャーの立て直しの課題に直面することになる。
ニューヨーク・タイムズ(NYT)は2018年秋に、グーグルが社内のセクハラ事件を隠蔽していた事を報じ、世界で20万人以上のグーグル社員らが抗議活動を行った。その後、ピチャイは問題の存在を認め、ハラスメントに関する調査を進めると宣言した。一部の社員は、ドラモンドが幹部の座に留まっていることが、同社が問題に真剣に取り組んでいないことの証明だと述べていた。
グーグルの初期社員であるドラモンドは、アルファベットで3番目の権力者とされ、社内や社外の女性と様々な関係を結んできたとされる。
NYTによるとグーグルの前CEOのエリック・シュミットは、愛人を企業コンサルタントとして採用していたという。また、共同創業者のセルゲイ・ブリンは2014年に、女性幹部と不倫中だったとされ、昨年12月に経営から退いていた。シュミットもブリンも報道された件に関して、公式なコメントを発表していない。
グーグルの共同創業者であるブリンと、ラリー・ペイジが会社を離れた今、アルファベットの経営を担うのはピチャイだ。彼にとって今こそが、会社のカルチャーを刷新すべきタイミングと言える。
セクハラの温床は今後も残る?
ツイッター上でグーグルの関係者らは、ドラモンドが退職にあたり、以前の幹部に与えられたような特別ボーナスを受け取っていないことを指摘した。アンドロイドの父と呼ばれたアンディー・ルービンの場合は、セクハラ報告を受けて退職した際に9000万ドルもの退職金を得ていた。
匿名のグーグル社員らは、「ドラモンドを追放するために、何故これほどの時間がかかったのか?」と疑問の声をあげた。ドラモンドは、グーグルの旧時代を象徴する幹部の一人であり、彼を追放できたことでようやく会社の新体制が始まるのかもしれない。
しかし、アルファベットの議決権の大半は、現在もブリンやペイジらが握っていることに変わりはない。
昨年12月の抗議活動の主催者の一人のグーグル社員、Laurence Berlandは、今後の見通しについて悲観的だ。経営陣と社員の関係にさほどの変化はもたらされないと彼は予測する。
「社員らの経営陣への反発は今後も続いていくだろう」と彼はツイッターで述べた。「今後も様々な問題が明るみに出るはずだ。グーグルがより良い職場になるためには、まだかなりの時間がかかる」とBerlandは続けた。