ビジネス

2020.01.14

ディカプリオも出資する米「マットレス企業」がNYでIPO申請

Casperのフィリップ・クリムCEO(Getty Images)

ハイテクで洗練されたマットレスをEコマースで直販する企業「Casper」が1月10日、ニューヨーク証券取引所にS-1書類(上場申請)を提出した。同社は現時点で黒字化を達成しておらず、今後しばらく収益化を見込んでいないが、睡眠分野の新たな市場である「スリープ・エコノミー」をリードすることを目指している。

Casperの上場手続きはモルガン・スタンレーやゴールドマン・サックス、ジェフリーズらが主幹事を務め、ティッカーシンボルは「CSPR」となる。同社は売り出し価格や、発行株式数をまだ決めていない。

提出書類で、Casperは黒字化を果たせていないことを開示した。7カ国でマットレスを販売中の同社は赤字続きで、2017年に7340万ドル(約80億円)、2018年に9210万ドル、2019年の年初から9月までで6740万ドルの損失を計上している。

Casperは自社のグローバルでの企業価値が、4320億ドルであると試算している。米国のスリープ・エコノミー市場の規模は、800億ドル相当であるとされ、今後の巨大な成長が見込めると同社は述べている。

2016年の創業から2019年までに、4億2000万ドル以上をマーケティング注ぎ、ブランド価値を高めてきた同社は、年間の売上高の3分の1近くを広告に支出している。競合のTuft & Needleの場合、2018年の広告予算は1500万ドル以下だった。

直近の2019年3月の資金調達時に、Casperの企業価値は11億ドルとされていた。しかし、今回のS-1書類で同社は、2019年のグローバル売上が、以前の目標の5億5600万ドルを下回ると述べた。2019年9月までで、売上は3億1200万ドルだった。

Casperの売上は2017年から2018年にかけて40%以上も上昇し、2億5000万ドルから3億5000万ドル以上に伸びていた。それでも、同社は赤字状態から抜け出せていない。「当社は長年、損失を出し続けており、事業の拡大を続ける中で、今後も損失やネガティブなキャッシュフローを見込んでいる」とCasperは述べている。

ニューヨーク本拠のCasperは5年前にマットレス販売を開始し、ミレニアル世代から強力な支持を得た。同社は商品を多様化させ、現在は枕やシーツも販売している。同社は既にリアル店舗への注力も開始しており、米国とカナダで60以上のストアを展開するほか、ターゲットなどの大手小売業者にも商品を納入している。

Casperは著名人からの支持も高い企業として知られ、レオナルド・ディカプリオやアシュトン・カッチャー、ラッパーの50セントやナズ(Nas)も出資している。

編集=上田裕資

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