フェイスブック傘下のインスタグラムはここ最近、アプリ内のEコマース機能を強化しているが、これは利用者数の減少に対応したものだ。2018年10月に、新たな責任者としてアダム・モッセーリを迎えたインスタグラムの2019年の広告売上は94億5000万ドル(約1036億円)で、前年度から52.9%の伸びだったとeMarketerは試算している。
広告売上が伸びた一因は、インスタグラムが導入した新たな広告メニューにある。中でも力を発揮したのはショッパブル広告(shoppable ads)と呼ばれる新機能で、ユーザーらは広告からダイレクトにプロダクトを購入できる。
ただし、ショッパブル広告はまだ初期段階にあり、「広告主たちは広範囲な利用を決断するに至っていない」とeMarketerのDebra Aho Williamsonは分析する。
「広告主はインスタグラム広告がブランドの認知度向上に役立つとみなしているが、購入に関しては、その他のプラットフォームに依存している」とWilliamsonは述べた。
eMarketerのレポートで、インスタグラムの2019年の利用者数の増加率は、前年の10.1%から6.7%に低下したとされた。「この数値は、米国での利用者数の伸びが限界に近づきつつあることを示している」
2023年までに、インスタグラムが米国で新たに獲得する利用者数は、1310万人程度に留まるとeMarketerは予測する。今後もユーザー数の増加は続くが、年齢の高い層の獲得率は以前の予想を下回り、年間成長率は2023年には2%以下になると同社は見込んでいる。
「高年齢層の米国人らは今でもフェイスブックに親しみを感じている。彼らはそこでのつながりに満足しており、新たなツールを求めてない。この層が主要なプラットフォームを乗り換える率は低い」とWilliamsonは分析する。
ただし、ここで注目すべきは、インスタグラムは米国で2019年に25歳から34歳のミレニアル世代の利用者を、11.4%も伸ばしていたことだ。しかし、アナリストは新興勢力のTikTokやスナップチャットがインスタグラムの売上を奪っていくと予想する。
「スナップチャットは2019年にアンドロイドアプリの仕様変更や、新たなフィルターの投入によりユーザー数を伸ばした。同社は新規ユーザーを獲得しただけでなく、休眠ユーザーたちも復活させた」とWilliamsonは述べた。
eMarketerの推定では2020年のインスタグラムの広告収入は138億6000万ドルに達する見込みという。これに対し、スナップチャットの売上を11億6000万ドルと同社は予測している。