その内容は慈善活動からAR(拡張現実)の活用まで多岐に渡っていたが、彼が文末で論じたのが、米国政府がいかにしてフェイスブックを規制していくべきかというテーマだった。
昨年は2020年の大統領選挙の民主党の有力候補であるエリザベス・ウォーレンらが、「フェイスブックの解体」を呼びかけ、9月には米国のほぼ全ての州の検事総長らが参加する、フェイスブックの独占禁止法違反に関する調査が始まった。
ザッカーバーグは解体論については触れず、政府による新たな規制を歓迎するスタンスを見せた。
「私たちの政府が正当なものである限り、民主的プロセスで定められたルールに従うことは、当社のメリットになる。我々が独自に定めたルールを守る以上に、人々の信頼を高められるのだ」とザッカーバーグは述べた。
「政府によって今以上に明確なルールが定められれば、有益なサービスが実現できる領域はいくつもある。政治関連のものや、有害コンテンツの排除、プライバシーやデータポータビリティに関わるエリアだ。私は次の10年で、これらの領域に明確な基準が設けられることを期待している」
フェイスブックはいくつかの法案に対しては、明確な反発姿勢を示している。その一つは、ソーシャルメディア企業に対し、誰が政治広告を購入したかを開示させるという法案だ。
昨年10月、ニュースサイト「The Verge」はザッカーバーグの社内ミーティングでの発言を暴露した。「仮にエリザベス・ウォーレンが大統領に選出されたら、法廷闘争に挑むことになるが、我々が勝利するだろう」と、彼は話した。
「もちろん、私だって自分の母国の政府と争いたい訳ではないが」と彼は続けた。
ザッカーバーグは事態の解決に向けて、別の手段も探っているようだ。昨年10月に、彼は取締役のピーター・ティールを従えて、ホワイトハウスでドナルド・トランプと夕食をともにした。しかし、そこで何が話し合われたかは一切公開されていない。
フェイスブックのロビー活動費用は2016年から上昇し続けていることが、OpenSecretsのデータにも記載されている。しかし、同社に対する反トラスト法調査が進み、新たな大統領がフェイスブックに厳しい姿勢を示す可能性も指摘される中で、ザッカーバーグはこれまで以上に困難な課題に直面しそうだ。
彼は以前の新年の抱負では、中国語を学習し、米国の30州を旅して新たな人々に出会い、農場の牛に餌を与えたりすることを自身の目標としていた。