がん研究の専門家がグウィネス・パルトロウに伝えたいこと

女優のグウィネス・パルトロウ(Getty Images)


産婦人科医のジェン・ガンター博士は数年前から、グープを広く批判してきた。2018年にはグープが当時オンラインで販売していたすべての商品を調査。161点のうち90%には、それらがうたう効果を科学的に裏付ける証拠がなかったことを確認した。

また、同じ2018年にグープは英国で、ウェブサイトに「日焼け止めががんの予防に役立つという(多くの)主張には、それを裏付ける証拠がほとんどない」と掲載していたことが問題視され、規制当局に報告された(SPF値が高いサンスクリーンは日焼けを防ぎ、結果として皮膚がんを防ぐことにつながるとされている)。

この一文はその後、削除されたようだ。だが、数多くの科学的研究によって示されてきた結果に矛盾するだけでなく、何十年にもわたって公衆衛生やがんの啓発活動のなかで訴えられてきたことに反する内容を主張する大胆さには、まさに驚かされる。

適切に書かれているようにみえる記事は、グープが提供する情報や販売する商品は信頼できるものとの誤解を人々に与える。だが、実際にはまったくそうではない。

長年がんの研究を行ってきた私のような科学者や医療の専門家はただ、がん患者がグープによって何かを誤解し、傷つけられ、搾取されるのを見たくないのだ。ネットフリックスの新番組の配信開始は、膨大な量の有害な情報が広まる可能性があることを意味している。

ウェルネスから栄養、治療に至るまで、エビデンスに基づいた適切な情報が提供され、多くの人たちを力づけるなら素晴らしい。だが、誤解を与えるのであれば、それは私たち専門家が取り組んでいるすべてのことに反するものであり、がん専門医たちに山ほどの問題をもたらすものでもある。

編集=木内涼子

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