美白クリームで水銀中毒になった米女性 気をつけるべきことは?

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美白クリームは侮ることができないものだ。こうしたクリームには水銀が含まれていることがあり、水銀を肌に塗布すれば美白どころではなくなるかもしれない。

米疾病対策センター(CDC)が発行する週刊疾病率死亡率報告(MMWR)に先日掲載された事例報告では、こうしたクリームがどれほど大きな害をもたらし得るかが示された。

この事例報告では、美白クリームを1日2回、7年にわたり定期的に塗り続けた47歳のメキシコ系米国人女性を取り上げている。女性は2019年7月、腕に力が入らず妙な感覚があることに気づき、医師の診察を受けた。状況はすぐに悪化し、ろれつが回らない、視界がぼやける、歩行困難などの症状が出た。女性はすぐに入院することになったが、最終的に精神錯乱状態になった。

検査の結果、女性の血液や尿からは高濃度の水銀が検出され、さらに女性がメキシコから購入した美白クリームに水銀が1万2000ppm含まれていたことが分かった。キレート療法でも症状は改善されず、女性は話したり身の回りのことをしたりできなくなり、チューブから栄養を摂取しなればならない状態となった。

自分が使うスキンケア商品にこれほど多くの水銀が含まれている状態は確実に好ましくない。発疹や変色、傷痕などで肌が荒れたり、感染症にかかりやすい状態になったりと、スキンケアのまさに真逆の状態を招きかねない。

それだけではない。水銀は肌に浸透し、血中や体のその他の部分に侵入することができる。こうして水銀に長期間さらされることで、腎臓や、脳など神経系の部位を含む他の部分にダメージが生じかねない。さらに、妊娠中に水銀が体に入ると出生異常が生じる可能性もある。

そのため、使用している製品のラベルに「水銀」という言葉があった場合は、温度計などの中に安全に保存されている場合を除きすぐに使用をやめること。その製品に触れた体の部分や手を徹底的に洗い、水漏れしない容器に製品を密閉し、できる限り早く医師に相談すること。

世界保健機関(WHO)の警告によると、水銀を意味する可能性のある単語には「Hg」「ヨウ化水銀」「塩化第一水銀」「アミノ塩化第二水銀(白降汞/はっこうこう)」「水銀の塩化アミド」「クイックシルバー」」「辰砂(しんしゃ)/硫化水銀」「hydrargyri oxydum rubrum(酸化水銀)」などがある。

もちろん、WHOが挙げる水銀の類語リストが全てを網羅しているわけではない。実際、米食品医薬品局(FDA)や他の米政府機関が規制していない製品のラベルには、製品に含まれているものが全て正確に書き出されてさえいない可能性もある。製品に原材料リストが書かれていない場合は特に疑うこと。これは、知らない人から何かを渡されて「これを顔に塗るように」と言われているようなものだ。
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翻訳・編集=出田静

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