世界で拡大する「図書館の電子書籍」貸し出し、過去最高を記録

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米国を中心に公立図書館での電子書籍の貸し出し件数の拡大が続いている。図書館向けの電子書籍配信ソリューションを提供する「Rakuten OverDrive」が1月8日、発表したデータによると、世界の図書館の電子書籍の貸し出し件数は2019年に過去最高を記録した。

Rakuten OverDriveは2015年に楽天が米国のOverDriveを買収して、設立した企業。同社によると昨年、図書館で貸し出された電子書籍やオーディオブック、デジタルマガジンの合計は3億2600万冊に達し、前年から20%の伸びだったという。

中でも利用者数を大きく伸ばしているのが、オーディオブックだ。2019年の電子書籍の貸し出し件数は2億1100万冊だった。それに対し、オーディオブックの貸し出し件数は1億1400万冊だったが、前年からの伸び率は30%で、電子書籍の伸び率(15%)を大幅に上回った。

オーディオブックの伸び率はこれまで、6年連続で電子書籍を上回っている。出版社側は、2020年もオーディオブックの好調トレンドが続くと予測したほうが良さそうだ。

Rakuten OverDriveによると、図書館が所蔵する電子書籍とオーディオブックの合計のタイトル数は昨年、1億2900万点に達し、2018年から21%増加したという。子供向け及びヤングアダルトカテゴリの貸し出し数は5900万件を記録し、前年比27%増だった。

さらに、図書館で新たに電子書籍の貸し出しサービスに登録した利用者は、500万人に及び、前年から12%の伸びだった。

世界73カ所の図書館のうち最大の利用回数を記録したのは、トロント公立図書館で年間660万件のデジタルコンテンツを貸し出していた。

OverDriveのシステムを導入した図書館では、利用者向けに専用のIDを発行し、ユーザーは図書館のコレクションから好みのコンテンツを、電子書籍リーダーなどにダウンロードして利用する。コンテンツは一定の期間が経過後に無効化され、返却のために図書館に向かう必要はない。

編集=上田裕資

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