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ニューヨークの投資家の間で、日本政府の対日投資の方針に対して疑心暗鬼が渦巻いている。10月18日、閣議決定され、現在開会中の臨時国会で成立を図る外為法改正案が、アクティビスト(物言う株主)締め出しを狙い、これまでのアベノミクスの成果であるコーポレート・ガバナンス(企業統治)強化に逆行する、という懸念を投資家たちが表明している。

外為法改正案では、原子力や航空機などを製造・保有する、安全保障上重要な日本企業に対する外資の出資規制を強化するとしている。具体的には、これらの企業の株式を外資が取得する際に、事前届け出が必要な保有比率を現在の「10%以上」から「1%以上」に引き下げるとしている。なぜ1%かというと、株主総会で議案提案ができる水準なのだという。2020年6月の株主総会シーズンに間に合うよう4月末の施行を目指す、というのも株主総会を意識していることの表れだ。外為法による出資規制強化は、中国の国有企業などを念頭に、先端技術の流出防止が目的で、日本以外のG7(主要7カ国) もすでに強化している。

しかし、外為法の閣議決定までほとんど議論の過程が見えていなかったこと、1%という水準があまりにも低いことから、市場関係者の間で日本への投資が困難になると懸念する声が大きくなってきた。また、アクティビスト封じは、アベノミクスの重要な柱の一つであるコーポレート・ガバナンスの改善に逆行するとの見解も表明されている。

このような懸念に対して、外為法を管轄する財務省は、銀行・証券による通常取引、ヘッジファンドや資産運用会社が行う「ポートフォリオ」取引などは、規制強化の対象外(事前申請不要)であるとしている。

また、アクティビストを含むヘッジファンド、外資系銀行、外資系保険会社、外資系資産運用会社も、安全保障上重要な日本企業の経営に関与しようする(株主総会で議案を提案する、取締役に就任しようとする)ことをしない限り、事前届け出の対象外とする。外資系証券による自己勘定取引、ブロックトレードなどの取引も事前届け出を求めない。顧客勘定の取引はもともと届け出の義務がない。アクティビストが経営者と対話をすることは、何ら問題がない。ただ、安全保障上重要な企業への関与(取締役を送り込む、株主提案をする)をしない限りとしている。

文=伊藤隆敏

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