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起業家たちの「頭の中」


でも、会社がだんだん大きくなっていくにつれて、スタイルが変わってきました。今は意識的に、経営寄りの仕事を増やしています。一歩俯瞰して事業全体を眺め大戦略を描く。会社の顔として外に出て、仲間を増やしにいく。採用に対してとにかく時間を割いて、日々面接をする。

SHOWROOMという船の中で自分が本当にフォーカスすべき仕事が見えてきた中で、自分1人の筋力でばたばたとオールを漕いでいても、この船は遠くに行かないな、って思ったんですよね。であればオール漕ぎは僕より筋力のある誰かにやってもらって、自分は帆の進め方を考える指令業務に時間を使えばいい。組織としてのスケーラビリティや、比較優位への意識がかなり強くなりました。

それで、投資銀行時代の「全部僕がやります」ってスタンスを変えました。だから今は、信頼してすごく任せています。むしろ、「本当にいいんですか、そんなに自由にやって?」みたいに相談を受けることがあることもあります。全然いいよ、と。自分なりに考えてみて、また教えてと。



社員のレベルをどう引き上げるか

──今おっしゃっていたように、前田さんがやっていたクオリティと、任せた社員の方のクオリティには残念ながら差があることもありますよね?それをどうやって埋めていくのでしょうか?

それこそLINEとかでクイックに、作った資料や企画書を送ってもらって、結構細かい粒度でマイクロマネジメントすることもあります。これもやっぱり仮説思考の話です。

例えば資料を作っていて、入れる文言を考える際には、それによって相手にどういう印象を与えるかとか、交渉上どういう風に有利になるかっていうことについての仮説があるわけですけど、それはなんなの?って聞きます。その仮説がない場合は怒るし、仮説があっても、それが見当違いな場合は教えるという感じです。

──単純に全て手取り足取りでっていうより、仮説はどういう風に持っているの? それを実行してみた?みたいなことを繰り返していって、徐々に仮説と実行についてのPDCAの意識を伝播していく、みたいなのが前田さん流ということでしょうか?

そうですね。でもまあ基本は「自由にやってくれ、何かあっても尻拭いはするから」と。予算もほぼNOって言わないですからね。急に「1億でこういうことやりたいです」って言われたらさすがに即答はしないけど、数百万規模で、「こういう商売してみたいんですけど」みたいな提案には、ほぼNOって言ったはことないです。

それで最初は、社員が逆にきょとんとしちゃうこともありました。「え?もっと検討されるのかと思ってた」と。でもそれって、そう思ってもらった方が、案件に責任感を持ってやると思うからなんですよね。これは自分が決めた企画であり、失敗できないな、絶対に成功させてやる、と。

相手によっては、僕があえてあまり中身を突っ込まずに、二つ返事でOKだよって言ってあげちゃうこともあります。これは、その人に対して全幅の信頼を置いているってメッセージになるので。その分、相当考え尽くした上での提案をくれないとだめですが。

文=小縣拓馬 提供元=Venture Navi powered by ドリームインキュベータ

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