フォーブスジャパン編集部

レバノンで会見したカルロス・ゴーン被告(Getty Images)

前代未聞の逃亡劇について、自ら主人公を演じたカルロス・ゴーン被告が逃亡先のレバノンの地で、ついに口火を切った。

国際政治学者、舛添要一氏はツイッター上で、ゴーン被告の記者会見について「80点の出来栄えで、世界に向かって言いたいことを言った」と評した。一方で「陰謀論は具体的証拠がなく、あまり説得力はないが、世界は、日本の司法制度批判を額面通りに受け取る。ゴーンに対する同情論が強まるだろう。日本の司法当局が直ぐに反論しなければ、完全にゴーンの勝ち、日本の負けだ」と語った。

ゴーン被告が、2018年11月に金融商品取引違反などの容疑で逮捕されて以降、公の場で会見するのは初めて。2019年3月に保釈されたが、保釈条件を破って19年12月29日午後、東京都港区の自宅を出て、関西空港から楽器を入れる大型の「箱」に入ってプライベートジェットで逃亡したとされ、大晦日に「私はレバノンにいる」と声明を発表し、世界に衝撃を与えた。

この逃亡により、東京地検はゴーン被告の保釈を取り消し、保釈金15億円全額を没収した。

舛添氏は、この逃走劇について、重ねて「保釈時の監視体制の甘さ」や「日本の司法当局の情報発信力の欠如」について批判していた。なぜ「80点の出来栄え」なのだろうか。

1月8日午後10時(日本時間)からレバノンでゴーン被告が開いた記者会見について、舛添氏の視点をもとに分析してみたい。

舛添氏はツイッター上で、記者会見の注目点について、次の4点をあげていた。

1. 日本の司法制度をどう批判するか
2. ゴーン追放劇が、ルノーとの経営統合に反対する日本人幹部による「クーデター」なのか、また日本政府が背景にいるのか
3. それを示す証拠があるのかその「犯人」の実名をだすのか
4. 逃走劇の詳細

舛添氏は(4)は明らかにしないだろう、としていた通り、ゴーン被告は会見の趣旨を「日本の司法制度批判」として、逃走の詳細は明らかにしなかった。

まずゴーン被告は、会見冒頭から改めて無実であることを強調し、「非常に残酷な形で私は家族や世界の友人、会社の人々、コミュニティから引き離されてしまった。逮捕された11月以降に一瞬たりとも自由を味わったことがありません」と、日本の数社を含む海外メディアに訴えた。

記者への質疑応答には英語、フランス語、アラビア語でそれぞれ答え、テレビ東京の記者に対しては「英語じゃないと話せませんよ」と、ジョークも交えて饒舌に語る姿は、独演会のようにも見えた。

1. 日本の司法制度批判

ゴーン被告は、日本の司法に対して以下のような点を問題点に挙げた。

・人質手法の日本の司法は国際法にそぐわない
・日本の司法は99.4%の有罪率に依存している
・日産の告発に根拠はなく恣意的な捜査だった

一方で、情に訴えかけるような場面も多く見られた。例えば「135日間、窓のない独居房に入れられ、人との接触はありませんでした。シャワーの数も限られています。職員は英語もフランス語も話せません」「妻キャロルは日本を去り、家族や友達と連絡をしたいとしても証拠を隠す可能性があるからと、いつも答えはNoでした」といったように、自らの拘留期間や家族について話すときは、怒りや悲哀を隠さなかった。

文=督あかり

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