だが、中国がいくら豚肉の輸入量を増やしても、アフリカ豚コレラ(ASF)の発生によって生じた不足分を穴埋めするには不十分だとみられる。世界の豚肉の生産量のうち、中国は半分以上を消費している。
北京に拠点を置くシンクタンク、センター・フォー・チャイナ・アンド・グローバリゼーション(CCG)の上級研究員は、中国の豚肉の輸入量が2020年に2018年の3倍の量に増えたとしても、それは同国の消費量の5〜6%を占める量に過ぎない量だと指摘している。
ASF流行の影響を解消するために必要となるのは、同国の養豚業全体の見直しを中心に据えた長期的な努力だろう。感染が拡大し始める前、中国で生産される豚肉の約4分の3は、国内各地に点在し、多くが家族経営の小規模な業者が手掛けたものだった。
ラボリサーチのアナリストは、国内の生産量に占める中小規模の養豚業者の割合は、向こう数年間で14%減少するとの見通しを示している。同国の養豚業は統合され、今後はより大規模な施設での生産が行われるようになっていくだろう。そして、バイオセキュリティーをより確実に保てるものへと変化していくと考えられる。
ただ、ガヴェカルのアナリストによれば、中国の養豚業がASF流行前の状態にまで完全に回復するには、過去に感染が拡大した他国の例からみても、少なくとも5年がかかるとみられている。