ビル・ゲイツ夫妻の慈善団体が「避妊」を支援するわけ

メリンダ・ゲイツ(Bryan Bedder/Getty Images for THR)


財団を設立して間もない頃、避妊の普及支援を行いましたが、未来への素晴らしい投資となりました。避妊の普及で多くの命が救われ、多くの人が貧困から脱し、女性の地位向上をもたらしたと分かったのは何年も経ってからでした。

家族計画の推進がもたらす効果を知り、この問題を重要課題の一つとして掲げ続けようと決めました。

家族計画の推進は初めの一歩に過ぎません。しかしその一歩は避妊薬の普及にとどまらず、女性の地位向上につながるのです。子どもを持つか、いつ妊娠するかを決める権利の獲得につながるだけではなく、長い間女性を虐げてきた様々な壁を取り払うための、一つの鍵でもあるのです。

妊婦と新生児の健康、家族計画、女性や少女の教育、無償労働、児童婚、農業や職場において女性が抱える課題といった全ての問題は、女性の地位向上を妨げる障壁に起因しています。

障壁がなくなれば、女性を貧困から救うだけでなく、あらゆる文化・社会レベルにおいて、女性の地位は男性と同等まで引き上げられます。問題を個別に改善するより、世界全体を包括的に改善する方が大きな変革を起こせるはずです。

その相関関係は、各種のデータ分析で明確に裏付けられます。貧困について調査すれば、弱者として存在する女性の姿が見えてくるでしょう。繁栄している場所に目を向ければ、力を持つ女性の姿が見えてくるでしょう。

女性が子どもを持つか、いつ子どもを持つかを自身で決められるようになれば。結婚をするか、いつ誰とするのかを決められるようになれば。自身の健康を守る手段を得て、不当な無償労働を強いられなくなり、望む教育を受け、資産に関する必要な意思決定をできるようになれば。

労働の現場で敬意を持って扱われ、男性と平等に権利を得て、周囲の男女の力を借りてリーダーシップを身につけ、高みへ上ることができれば。──そして女性が豊かになり、家庭や社会を豊かにできれば。

その一つ一つは壁とも、扉ともとらえられます。私たちはどちらととらえるのか、答えはもう出ています。既に力を得ている今日の女性の心と精神が放つメッセージは、こうです。「全ての壁は、扉なのだ」

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