I write on gender equity in the workplace.

カルロス・ゴーンとキャロル夫人(Photo by Mustafa Yalcin/Anadolu Agency/Getty Images)

日産自動車のカルロス・ゴーン元会長とキャロル夫人は2016年、仏ベルサイユ宮殿でパーティーを開き、2人の結婚と夫人の50歳の誕生日を祝った。このパーティーのテーマは映画『マリー・アントワネット』から着想を得たもので、アントワネットの時代の衣装を身にまとった俳優らが集められた。

皮肉にも、キャロル・ゴーンはマリー・アントワネットと同様、夫と運命を共にしている。日本の検察は、夫に対する捜査で虚偽の証言をしたとして、キャロル夫人に対する逮捕状を取った。

このような場合、妻はどんな法的権利や哲学的・道徳的責任を持つのだろう? 人々は妻に期待される「責務」については理解しているが、法廷では「妻」であることは何を意味するのだろうか?

米連邦裁判所では、配偶者には証言に関して2種類の保護が与えられている。それは配偶者としての免責特権と、配偶者間コミュニケーションに関する免責特権だ。ジョージ・ワシントン大学法科大学院のスティーブ・サルツバーグ教授(法学)によると、この2つはそれぞれ異なる保護を提供している。

配偶者としての免責特権を利用するかどうかは、証言をする配偶者が決められる。そのため、仮に裁判が米連邦裁判所で行われた場合、キャロル夫人は夫にとって不利となる証言を拒否できる。ゴーン夫妻が離婚した場合、キャロル夫人は証言を余儀なくされる。

2つ目の配偶者間コミュニケーションに関する免責特権は、双方の配偶者に適用され、婚姻中に内密に行われたやり取りの内容を保護するものだ。これが適用されれば、カルロス・ゴーンは妻に対して話した内容に関する証言を拒むだけでなく、自分と内密に交わしたやり取りについての妻の証言を阻止できる。この特権の目的は、法廷での証言強制を心配することなく配偶者に対して深い感情を打ち明けられるようにすることだ。

ただ、同じくジョージ・ワシントン大学法科大学院のキャサリン・ロス教授(法学)は、「これは『コミュニケーション』以外には適用されないため、キャロルは自分が目撃したものや気づいたことについての証言を強いられる可能性がある」と述べている。そのため、「キャロル・ゴーンが、夫が逃亡のため身を隠したとされる箱の中に入るのを目撃していたとすれば、証言を強要される可能性がある。また、偽証罪の弁護にこの特権を使うこともできない」という。

またサルツバーグ教授によると、「配偶者間のコミュニケーションが犯罪や詐欺を助けるためになされた場合、保護の対象にはならない。そのため、夫か妻が脱獄を共謀した場合、その夫婦間のコミュニケーションは保護されない」。つまり、夫妻がどちらかの保釈中の逃亡を計画した場合も、特権は適用されないのだ。

ゴーン夫妻が欧州にいた場合、配偶者に対して不利な証言を強要されることに対しさらに広範な保護制度が存在する。

現時点では、ゴーン夫妻は米国にも欧州にもおらず、今のところ米国の裁判所は関与していない。とはいえ、配偶者が婚姻によりどれほど強力に守られているか、そして裁判では妻であることが何を意味するのかを理解しておいて損はないだろう。

編集=遠藤宗生

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