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日本の花火とドローン、パフォーマンスがシンガポールのカウントダウンをジャックした(写真=小田駿一)

2020年という節目の年を迎えた瞬間、シンガポールのランドマークであるマリーナ・ベイで世界中から訪れた50万人が熱狂したのは、日本の民間企業が手掛けたエンターテインメントだったということをご存知だろうか。

シンガポールのカウントダウンを最高潮に盛り上げたのは、エイベックス ・エンタテインメントが主導し手掛ける「STAR ISLAND」(スターアイランド)だ。今回は「STAR ISLAND SINGAPORE COUNTDOWN EDITION 2019-2020」と題し、圧巻のショーエンターテインメントを創り上げた。

「世界的なカウントダウン」STAR ISLAND


日本の伝統花火が無数に上がり、500機のドローンが夜空に舞い、3Dサウンドやレーザー・ライティング、世界に誇る日本のパフォーマーたちのショーパフォーマンスがカウントダウンを盛り上げた。観客も口々に絶賛し、CNNも世界的なカウントダウンの一つとして紹介した。

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Shunichi Oda

「花火大会は無料である」という常識を覆し、今回、最も安価なシートでも日本円で1席7000円超の値をつけたにもかかわらず、有料観覧席には約2万人を動員した。

2017年から東京で始まったSTAR ISLAND。世界から「ぜひ来て欲しい」の呼び声が高く、2018年末にはシンガポールへ初の海外進出を果たし、シンガポールでの公演は今回で2回目。既に2020年末の公演も決定している。

昨年9月にはサウジアラビアの建国記念日に、国王宮を背景に開催した。今年は他国でも予定している。

なぜSTAR ISLANDは世界に評価されるのか。その魅力とは。そして、なぜエイベックスがこのようなエンターテインメントを手掛けているのか。現地で取材した。

エイベックスが見出したライブの可能性


そもそも2000年代から、エンタメ、特に音楽の世界では激変が続いている。iPodやiTunes、iPhone、Spotifyの登場により、音楽ビジネスの主戦場はCDの販売を中心とした著作権ビジネスから、一気にストリーミングサービス全盛へとシフトした。いつでもどこでも、スマホとアプリがあればオンラインで音楽を聴くことができる。

プラットフォーマーが全盛である一方で、アーティストを抱えCDなどの形でコンテンツを提供し続けるコンテンツメーカーは苦戦を強いられている。国内のCDの売り上げ枚数は、1998年をピークとして減少の一途を辿る。

グローバル化が進む一方で趣味の細分化も進み、国内から世界で勝負できるようなスターやコンテンツが生まれづらくなっていることも事実である。未だ答えの見えない苦境が続く中、コンテンツメーカーはどのように闘うか──。

2018年に創業30周年を迎えたエイベックスはひとつの可能性として、早くからライブの可能性に着目した。オンラインコンテンツ全盛だからこそ、ライブの体験価値が上がっている。黒岩克巳社長がリードする形で、オンラインにはないリアルな感動体験を生み出す場として、ライブの企画運営に力を入れてきた。

エイベックスは世界最大級の音楽フェスである米国の「Ultra Music Festival」をローカライズさせ、今や国民的なダンスミュージック・フェスとなった「ULTRA JAPAN」を手掛けたことでも知られるが、STAR ISLANDはまた違うアプローチである。まさにエイベックスのライブの真髄を注入し、世界へ打って出るためにゼロイチで生み出した唯一無二のコンテンツと言える。

興味深いのは、世界的なパフォーマーが続々と登場する一方で、興行的に中心となるスターやアーティストが不在であるという点。あくまでもSTAR ISLANDという、その場に集った人しか感じることができない一連のライブ体験が世界に評価され始めているのだ。

しかしグローバルで勝負できるコンテンツを0から生み出すのは大変な困難が伴う。今回の現地取材と関係者へのインタビューで、編集部はその苦労をも目の当たりにした。

まずはシンガポールで50万人を虜にしたショーの一部始終をお伝えしたい。

文=林亜季、写真=小田駿一

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