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ベロダインのデモンストレーション車両(2019年9月)(Art Konovalov / Shutterstock.com)

毎年1月にラスベガスで開催される「CES」では、自動運転関連の新たなテクノロジーの発表が相次いできたが、2020年の各社のプレゼンは例年に比べ、ややトーンを抑えたものなった。完全自動運転によるロボットタクシーが実現するのは、以前考えられていたよりも、かなり先のことになりそうだ。

この分野の企業は今、輝かしい未来感を打ち出すよりも、既存の技術の成熟度を高めることを求められている。そんな中、LiDARセンサーのパイオニアとして知られる「ベロダイン」は従来よりも価格を抑え、導入が容易なプロダクトを自動車メーカーに提供し、ADAS(先進運転支援システム)分野で活用させることで、直近の売上を伸ばそうとしている。

ベロダインは1月7日、価格100ドルのソリッドステート型センサーの「Velabit」をCESで発表した。同社はこの製品が、安全性を向上させるADASやドローン、工業用ロボットなどに最適なプロダクトである述べている。

発表当日に同社の新CEOに就任したばかりのAnand Gopalanは、フォーブスの取材に次のように述べた。「2台のVelabitを車両に搭載するだけで、自動緊急ブレーキや車線アシストなどの精度を大幅に向上できる。カメラやレーダーのみを搭載した既存の車両の信頼性も、大きく高められる」

車両の周囲360度を3Dマップ化するLiDARは、自動運転に必須の技術となったが、ベロダインの初期の製品である、回転式のHDL-64の価格は6万ドル以上もした。新シリーズの複合レーザー照射センサー搭載のPuckシリーズは、HDL-64よりも大幅に安い価格を実現したが、今回のVelabitほど安価な製品はこれまでのベロダインのラインアップには存在しなかった。

Velabitはトランプの箱ほどの大きさでありながら、最大100メートル先のオブジェクトを認識する。ベロダインはこの製品が、ブラインドスポットの検知や交通状況の把握、緊急ブレーキの制御、歩行者や自転車などの認識に役立つと説明した。同社は今年6月から、Velabitの製造を開始する。

高性能なLiDARは最も高い精度の自動運転を実現するツールではあるが、1ユニットが数千ドルというコストの高さにより、ベロダインは売上の伸び悩みに直面してきた。ただし、今後は生産台数を大幅に増やすことで、大幅な価格の引き下げが可能になるとGopalanは話した。

音響機器メーカーから自動運転にピボット

ベロダイン創業者のデビッド・ホールは、1980年代に同社を設立した。初期のベロダインはハイエンドなオーディオ機器を製造するメーカーだったが、その技術が自動運転分野に応用可能であることに気づき、2004年の国防総省が主導する自動運転車のレース「DARPA(国防高等研究計画局)チャレンジ」に出場した後、LiDARメーカーとして一気に注目度を高めた。

ホールはCEOの座をGopalanに譲った後も、会長として同社に留まるという。ベロダインは7日にVelabitを発表する直前に、Gopalanの新CEO就任をアナウンスした。

「Gopalanと私は長年、協力しつつベロダインの技術を磨き上げてきた。彼は会社が次のステップに進む上で、最適な人物だ。私は会長に退いた後も、Gopalanに助言を与え、戦略の立案に関わっていく」とホールは話した。

ベロダインはフォードや中国のバイドゥらと密接な関係を築いており、カメラメーカーのニコンとも提携を行っている。同社は自動車部品サプライヤーの韓国の現代モービスとも協業し、各社の車両向けにセンサーを提供している。

編集=上田裕資

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