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米国の鉄道の電化率はわずか10%

それでも、気候変動への世界的な懸念からクリーンでサステナブルな代替エネルギーの商用化に数十億ドルもの資金が投入されている。電気鉄道には、コストの高いカテナリー式架線への投資が必要となるが、燃料電池列車は既存の線路を使って運行できるため、コストを抑えられる。

アルストムの試算によると、米国の鉄道網の90%は電気が通っていないため、同社の燃料電池車は次世代車両として大きな可能性を秘めている。特にカリフォルニア州はディーゼル車の排ガス削減を重視しているため、同社にとって有望な市場だ。

水素を燃料とするテクノロジーは数十年前から存在しており、過去にはNASAの宇宙船にも使われていた。しかし、燃料電池は製造コストが高く、耐久性の問題もあり、輸送機関への利用はこれまで制限されてきた。さらに、天然ガスから水素を取り出す際に二酸化炭素を排出するため、グリーン燃料としての魅力に乏しいとされてきた。

しかし、長年の研究開発により、安価な代替素材の開発も進み、高い耐久性とパフォーマンスを発揮できるようになった。また、ノルウェー企業の「Nel Hydrogen」は、天然ガスではなく、水の電気分解で水素を作る技術を開発し、二酸化炭素を排出せずに水素を製造することを可能にした。

一方で、アメリカの通勤電車ではなく、貨物機関車に水素を用いるのはまだ当分先のことになりそうだと米国エネルギー省の研究者たちは考えている。しかし、市場規模は、貨物列車の方が格段に大きい。

サンディア国立研究所が作成したレポートには、次のように書かれている。

「長距離用の貨物機関車に水素を使用することは技術的に非常に困難だが、社会的価値は最も大きい。ディーゼル燃料を水素に置き換えることができれば、規模の経済が働き、燃料コストが飛躍的に低下する。燃料電池車のテクノロジーを前進させるためには、より効率的な電池システムの開発や、モジュール方式によるコスト低減、先進的な素材を使った耐久性の向上などが求められる」

編集=上田裕資

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