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2020.01.07

人の移動手段、2010年代の勝者は「自転車」

Mariusz Galas / Shutterstock.com

自転車シェアは2010年代、都市交通に革命を起こした。さらに一部の調査結果では、今後は起伏の多い街中で便利な電動自転車が将来的な移動手段の主力となり、2020~23年に世界で1億3000万台以上が販売されるとも予想されている。

世界の自転車シェアサービスの数は2014年から倍増し、シェア自転車の数は20倍になっている。セビリアやパリなどの都市は自転車をベースとした野心的な交通サービスを展開し、ニューヨークなどでは自転車が最適・最速な移動手段となっている。

もちろん自転車は万人向けではないが、きちんと計画して導入すれば、都市部の渋滞緩和と大気汚染低減に大いに貢献できる。グーグルマップやシティマッパーなどの地図サービスでは既に、世界中の都市でのシェア自転車の空き状況やステーションの表示機能がある。これは重要なステップだ。さらにウーバーなどの企業は、短距離輸送サービスでの軸足を車から自転車やキックスケーターへと移行させている。ウーバーとライムでは、自社サービスの魅力を高めるために定額制の導入を検討している。

今後必要なのは、自転車が未来の都市交通手段になることを各市当局が理解し、自転車専用レーンの整備に適切な投資を行うことのみだ。その際に重要となるのは、自動車用のスペースを奪って自転車などの小型輸送手段に割り当てることを受け入れることにある。自動車の行き交う路上で自転車に乗るのは危険なため、勇敢な人以外を遠ざけてしまう。きちんと管理された自転車専用レーンが必要なのだ。

電動自転車とキックスケーターは、都市部の交通を向上する上で大きな役割を果たす。もちろん、究極の解決策ではないし、こうした移動方法に魅力を感じない人たちもいるが、自動車ではなく歩行者を優先した都市計画の再考に役立つことには変わりはない。世界で毎年880万人が大気汚染に関連した病気で亡くなっていることを考えれば、都市部での自動車利用を制限し、排ガス量の多い自動車を検査厳格化や生産停止により街から締め出すことは理にかなっている。

時代遅れの有害なテクノロジーをできるだけ早く排除することは、人々の為になる。自動車に固執している人は、車庫に閉じこもって車のエンジンを数時間かければ、そんな考えも改められるだろう。スマートな都市とは、市民の健康を害さない都市だ。

違う種類の都市は実現可能なのだ。

編集=遠藤宗生

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