ハーバードでMBA取得、そのままアメリカで活躍する日本人のキャリア

吉川絵美さん


 ──吉川さんのように、MBAを海外でとって現地就職している人は、数少ないと思います。日本に戻る、という選択肢はなかったのでしょうか。

アメリカに来て2、3年目までは本当に無我夢中で、その日その日を乗り越えることを目標に前に進んでいました。その後、会社が買収されて人が入れ替わる中で、ふと自分がチームで一番の古株になっていて、自分が教える側に立っていました。

金融機関の何十人というお客さんに対して投資モデルの研修をしたり、世界中のオフィスを回って同僚にトレーニングを行ったり。今後も米国でやっていけるなという自信はその頃つきました。それ以降は日本に帰るというオプションは全く考えませんでしたね。

MBA在学中も、日本での就職を考える日本人留学生向けの「ボストンキャリアフォーラム」に行く同級生も多かったのですが、私はスキップして、米国での就職にフォーカスしていました。


HBS同級生との集合写真

卒業後は、シリコンバレーのテック系ベンチャーで勤務し、国際事業コンサルティング等を経験しました。現在はサンフランシスコに本社を置く、Rippleというブロックチェーン企業で海外事業部門のシニアディレクターとして勤務し、グローバルに仕事をしています。

当初アメリカに来た時にデータ分析系の比較的社内的な仕事をしていたら、今のような仕事には繋がっていなかったかもしれません。あそこで顧客に向き合う仕事を選び、自分を背伸びさせた。その後の仕事の幅が広がりキャリア機会も増え、今につながったと思います。振り返ってみると、ちょっと背伸びしてでも難しくてチャレンジングだと思える道を選んだことがよかったのだと思います。

──吉川さんのような国際的なキャリアを築きたいという人に対してアドバイスをいただけますか。

なにか新しいことをするときには、とりあえずまずはやってみて、失敗して、もがくことで、そこから学べることが多くなると思います。

私は準備する前に、とりあえずやってみることの繰り返しでした。いろいろ準備して、「英語はこのくらいになってから」とか、準備万端になってから行こうという人もいるかもしれません。今の自分が未完成だったとしても、足を踏み入れることによって学べることのほうが多いし、それによって学習のスピードが圧倒的に速くなると思います。

今、自分がどこにいるかというよりも、どこに行きたいかを考えて、そこに到達するためには、今、足を一歩踏み出すということが大事ではないでしょうか。よく、マインドセットは大きく2つのタイプに分かれると言われます。一つは、できない理由ばかり考える「固定型マインドセット」、もう一つは、今はできなくても、できるようになると考える「成長型マインドセット」。私は常に「成長型マインドセット」を大切にしているし、同じようなマインドセットを持っている人は一緒に話していて楽しいし、応援したくなります。
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文=クローデン葉子

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