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2020.01.07

成長鈍化のネットフリックス、てこ入れは「広告付きプラン」が有望

XanderSt / Shutterstock.com

ネットフリックスはこのところ、米国で契約者数の伸びが鈍っている。視聴料の引き上げが響いたほか、ディズニーの「Disney+」やアップルの「アップルTV+」の参入により、動画配信サービスの競争が激しくなっているためだ。

2020年にはさらにAT&Tの「HBO Max」、コムキャストの「Peacock」もサービスを始めるため、ネットフリックスは一段の逆風にさらされるとみられる。

コンテンツに巨額の投資をし、債務も拡大していることを踏まえると、ネットフリックスは契約者数の伸びの鈍化、あるいはその減少を座視するわけにはいかないだろう。そのてこ入れと収益の向上のためには、従来のプランより安価な広告付きプランを追加することを提案したい。

根拠は、ネットフリックスの主要なライバルで、既に広告付きプランを導入しているHuluが、その有効性を示していることだ。

Huluによると、同社の広告収入は17年の約10億ドル(足元の為替レートで約1080億円)から18年には約15億ドルに増加。私たちの推計では、Huluの広告付きプランの契約者数は17年が約1200万人、18年が約1750万人となっている。これらに基づくと、Huluは月に契約者1人当たり約7ドルの広告収入を得ている計算になる。

広告主にはテレビより魅力的

動画配信の視聴者はテレビの視聴者に比べ年齢層が若く、また所得が高い傾向があるため、広告主にとっては魅力が高くなっている。Huluによれば18年の時点で、テレビ放送視聴者の年齢の中央値が56歳だったのに比べ、Huluは32歳だった。また、米世帯年収の中央値が6万3000ドルだったのに対して、Huluの視聴者の平均世帯年収は9万3000ドルだった。

Huluの広告付きプランは月額6ドルなので、上の計算に基づく広告収入と合わせれば実質的な1契約当たり月間平均収入(ARPU)は約13ドルとなる。これは、広告なしのプレミアムプランの料金(12ドル)を上回る額だ。

ネットフリックスも、月額7〜10ドルの料金で広告付きの高画質(HD)プランを導入すれば同様のことが可能だと考えられる。ネットフリックスは契約者の年齢や所得に関するデータを公表していないものの、広告主にとっての魅力についても、おおむねHuluの場合と同じことが言えるだろう。

編集=江戸伸禎

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