ビジネス

2020.01.07

「他者の目」を大切にするチームづくり|SHOWROOM 前田裕二

SHOWROOMの代表取締役社長・前田裕二氏




「他者への想像力」に富んだ最強のチーム

──SHOWROOMにはそうした考え方ができる人が揃っている?

嬉しい話があって、最近、特にSHOWROOMのメンバーって本当に思いやりがあるんだなって思わされることがあって。お客様や業界の方々から、言われるんですよ。

たまたま何かの会食で同席した、SHOWROOMを使っていただいているある人から、うちの担当者に対してどれだけ感謝しているかって熱い思いを2時間くらい語られて。

例えば、あるオーディションを企画した社員について。実際にSHOWROOMで実施したのは、その会社のあるドリンクのイメージガールを選ぼうっていうオーディションだったんですけど、「オーディションがどうすればうまくいくかってことだけじゃなくて、どうやったらそのドリンクのことを世間にもっと知ってもらえるかを誰より高い熱量で考えてくれたりして、毎日電話で話したりもして。うちの社員ですか? って思うくらいに親身に考えてくれて。なんであんなにうちのことを考えてくれるのかが不思議でしょうがない。今後あの人に何かあっても、絶対支えたいと思います!」みたいなことをすごく語られて。

その話を聞いた僕としても「あ、これは自分が褒められるより嬉しい」というレベルで、すごく嬉しかったです。自分が褒められるより嬉しいことって、あるんだなと。

──さっき起業家に必要な素養として「他者への想像力」を挙げてもらいましたけど、メンバーにもそういう頭を働かせながら仕事をしている人がいるってことですよね。それがSHOWROOMの強さの本質である、と。

本当にそこなんですよね。もちろん社内でも言い争いというか、お互いがある種の利害関係をぶつけている時も当然あるんですけど、それはそれで信頼関係を作るためには必要な作業だと思うんで、必要な時は、どんどんぶつかればよいと思っています。

ぶつかった後で、お互いの腹の底が分かって、本当の意味での相手に対する想像力が持てるなら、それはいいと思ってます。神様じゃないんだから、いきなりパッて相手に対して想像力を持てるなんて、そんなことなくて。ぶつかったりとか、お互いいいところを見合ったりとか、いろんな経験を通じて、その人と同じ皮膚感覚で、同じ目線が持てるようになっていくものだと思うんです。

そういう経験をしてきているからこそ、僕は「今日のインタビューは秋元さんでやってくれ」って言われたら、いますぐにでも秋元さん(康氏)モードにもなれるような気がします。守安(功氏。DeNA代表取締役社長)モードや、南場(智子氏。同会長)モードもあります笑。彼らだったらこう言うだろう、というプロトコルを、自分にインストールすることができるというか。他者への想像力、コミュニケーションというものを突き詰めてやっていくと、その人が自分に憑依したようなレベルで、気持ちが理解できるようになっていくと思います。
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文=小縣拓馬 提供元=Venture Navi powered by ドリームインキュベータ

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