起業家たちの「頭の中」

SHOWROOMの代表取締役社長・前田裕二氏

アーティストやアイドルによるコンテンツ配信が無料で視聴でき、誰でもすぐに生配信が可能な“夢を叶える”ライブ配信プラットフォーム『SHOWROOM』。急成長する同サービスの運営会社SHOWROOMの代表取締役社長・前田裕二氏に、起業家としての心得や事業戦略についてドリームインキュベータの小縣拓馬が聞いた。(全6話)※本記事は2017年5月に実施したインタビュー内容を基に作成しております。


「思いやり」こそ成長の母

──他者への想像力、仮説思考の力とはどういうことでしょうか?

他者への想像力は、もっと身近な言葉で言えば、思いやりと言い換えることもできるでしょう。サービスやプロダクトをつくる上でも、チームビルディングをする上でも、どれだけ相手を思いやるか、つまり、相手の目線に立って想像力を働かせられるかが、最重要だと思います。これは簡単そうで、できている人が多くない。自戒も込めて、この要素をあえて挙げたいです。

仮説思考の力というのは、PDCAを回す中でついていきます。仮説のないアクションは悪であって、1個1個の行動に、その時点での最善仮説を持てているかを強く意識しています。

──どうやってそうした能力を身につけられたのですか?

小学6年の頃、親戚にもらったアコースティックギターを片手に、駅前で弾き語りを始めました。

最初は1か月毎日やっても月に500円に満たない身入りでしたが、その後、仮説、アクション、そして改善に次ぐ改善をかさね、最終的には10万円以上のお金がギターケースに入るようになりました。CAGR半端なかったなと笑。それだけものすごい数のPDCAが回ったということですが、その過程でこうした能力を身につけていったのだと思います。

最初はオリジナル曲の方が付加価値が高いと思ってそればかりやっていたのですが、足を止めてくれる人はいませんでした。ただ、自分には、これによって食いぶちを得たいという、強烈なモチベーションがありました。お腹も減っていましたし、そんな精神的・肉体的苦しさから解放されるために、他者への想像力を自然と働かせるようになりました。

まず当時の僕がやったことは、道行く人が自分をどう見ているかを想像してみることでした。他者を動かしたいからこそ、「他者の目」を持とう、と思いました。

冷静に見つめてみると、決して小綺麗な格好はしていないし、そもそも相手が絶対に知らない謎のオリジナル曲を弾いているから、「この子に話しかけたら、CD買ってくれとか投げ銭しろとか言われそうだなー」って思われているだろうなと。

ならば、その警戒心を解くために、まずはカバー曲に切り替えました。知っている曲の方が、人の警戒心を外しながらも、注意や関心を引けると思ったからです。

これが、僕が他者への想像力を前提に考えた仮説思考で起こした初めてのアクションだったと思います。すると明らかに歩留まりが違った。そのことが面白くて。次々にPDCAを回していったのです。

文=小縣拓馬 提供元=Venture Navi powered by ドリームインキュベータ

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