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2020.01.06 17:00

家具から部屋、そしてまちへ インドネシアで都市開発に挑む日本人起業家

カマルクホールディングス 和田直希

カマルクホールディングス 和田直希

世界の暮らしをリデザイン(ReDesign)する──。そんな壮大な思いを実現しようとしている日本人連続起業家がいる。シンガポールに本社を置くIoT家具スタートアップ、カマルクホールディングスの和田直希(39)だ。和田は1月6日、インドネシアの地で「まちづくり」という新たな挑戦を始めることを発表した。

「10年後も20年後も、常に新しい人たちが集う『変わり続けるまち』。変わり続けることで、新しいカルチャーが生まれ続ける『変わらないまち』をつくりたい」

和田がインドネシアで挑む「まちづくり」のIRAMA(イラマ)プロジェクトは、日本でいうと東京駅に当たる都市中心部での敷地面積4000平方メートルの開発だ。和田がインドネシアの元大統領であるメガワティ・スカルノプトゥリと出会ったことで始動した。

完成する施設は、コワーキングオフィス、ホテル、フード、カルチャー(ラジオ局)、ガーデンなど7つの機能を持つ。そして、注文から製造、出荷といった工程を自動化・自走化した家具工場、地下に溜まるCO2を利用し温度、湿度、照度の自動制御、画像認識で最適な収穫ができる植物工場も設置するなど最先端の取り組みを行う。さらに、家具、空間、生活がつながる「Que」というスマホアプリも開発し、それらが相互作用するサスティナブルな施設を目指す構想だという。

「大きなまちをつくりたいわけではありません。『IRAMA』という名前で、ニューヨークや東京、アジアなど世界中に展開していきたい。このコミュニティが多拠点でどこにでも住めるまちになるなら、地元がジャカルタのインドネシア人がニューヨークのIRAMAのコワーキングオフィスにある企業で就職するという選択肢が生まれ、ライフスタイルの変化も生み出せるかもしれない。僕らのまちづくりでは、『一生住むまち』ではなくても、『人を輝せるまち』であり、『人生に必要な時に訪れるまち』をつくりたい。人生の中で、このまちで過ごす数年間があったら美しいなと」(和田)


IRAMAプロジェクト構想のイメージ

「家具」から「まち」をデザインする

和田が「すべて『まちづくり』のために積み上げてきた」と語るカマルクホールディングスの創業は2014年6月。シンガポールに本社、インドネシアに工場を持つスタートアップは、「ファニチャー2.0」を標榜し、家具のあり方を素材、製造、流通、価格、IT/IoT化から再定義し、世界観をイメージして家具を製造・販売してきた。

「まちは人の集合体であり、建物や家の集合体。では家はというと、プロダクトの集合体。だからまず家具から始めた。エキサイティングな家具メーカーとしてブランドが認知されたら、家具から家、まちへとつながるのではないか、と」(和田)

16年3月に世界初で「家具×IoT」というコンセプトの「サウンドテーブル」の予約販売を開始。スマートフォンから自分の好きな音楽を流せたり、外の天気に応じた環境音を奏でたりできる薄型スピーカー内蔵型テーブルは大きな話題を呼んだ。
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文=山本智之

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