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スペースXのファルコン9ロケット(Joel Kowsky/NASA via Getty Images)

2020年代の訪れとともに、宇宙関連で最大の注目を集めているのがイーロン・マスク率いる「スペースX」と、リチャード・ブランソンの「ヴァージン・オービット(Virgin Orbit)」だ。この2社は今年、将来の宇宙ビジネスに必須の新たなマイルストーンに挑もうとしている。

スペースXは今年後半に衛星インターネット事業を立ち上げる。ヴァージン・オービットも今年、初の商用オペレーションを実施しようとしている。

スペースXは早ければ1月6日に、3回目の衛星コンスタレーションのStarlinkの打ち上げを実施する。Starlinkは60個の衛星群を一気に打ち上げて、衛星インターネットサービスの実現を目指す。今回の一部の衛星には光を反射しないペイントが施されており、これにより天体観測に与える影響を軽減できるかを見極めようとしている。

これまでの2回のStarlinkの打ち上げでは、衛星が光を反射し、宇宙研究の妨げになることが指摘されていた。スペースXのCOOのグウィン・ショットウェルは先月、記者団に対し「当社は子供たちが天体望遠鏡で観測しても、問題が起きないように準備を進めている」と述べていた。

順調に進めば、同社はさらに2回の打ち上げを1月と2月の初旬に実施する予定だ。スペースXは衛星インターネットサービスをまず、米国やカナダ向けに提供し、最終的に24回の打ち上げを成功させてグローバルに展開する。

StarlinkはスペースXのコア事業とされている。Pitchbookのデータによると、同社はここ1年で12億ドル以上を調達し、評価額は330億ドル(約3.6兆円)以上に達しようとしている。調達した資金の大半はStarlinkの構築に向けてのものだ。

イーロン・マスクは2018年5月、衛星インターネット事業の収益を、将来的に人類を月や火星に運ぶ宇宙船の「スターシップ」計画に用いると発言した。

一方で、スペースXは宇宙飛行士らを国際宇宙ステーションISSに運ぶプロジェクトの、新たなテストも間もなく実施する。1月中旬の打ち上げで同社は、宇宙船クルードラゴンの「インフライト・アボート・テスト」を行う予定だ。インフライト・アボートとは、有人宇宙船に何らかの異常が発生した際に宇宙船をファルコン9ロケットから切り離し、宇宙船とクルーを安全に帰還させるためのもので、このテストが成功すれば、スペースXは初の有人宇宙船のミッションを2020年前半にも実施する。

ヴァージン・オービットは「空中発射」

リチャード・ブランソンのヴァージン・オービットも今後の数週間で新たなチャレンジを行う。ブランソンは宇宙旅行企業のヴァージン・ギャラクティックも運営しているが、ヴァージン・オービットは小型衛星を宇宙に送り込む。

小型衛星の打ち上げではロサンゼルス本拠の「ロケットラボ」が先行しているが、ヴァージン・オービットが特徴的なのは、ロケットを地上から打ち上げるのではなく、航空機に搭載したLauncherOneと呼ばれるロケットを空中から発射する点だ。この手法で同社はコストと時間を大幅に節約可能であるとしている。

LauncherOneのテスト発射は1月中に実施される予定で、成功した場合は2月に同社初の商用打ち上げを実施する。初回のクライアントはNASAで、大学生や高校生らが作成した実験機器を宇宙に運ぶELaNaプロジェクトの一貫として実施される。

編集=上田裕資

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