フランスのメディア大手ビベンディ傘下のUMGの企業価値は336億ドルとされており、テンセントは10%の株式の対価として34億ドル(3700億円)を支払った。契約には、2021年1月15日までの期間に、テンセントが追加で最大10%の株式を入手するオプションも盛り込まれている。
この動きは2社のグローバル拡大を加速させることになる。テンセントは今後、UMGが保有するテイラー・スウィフトやビートルズ、レディ・ガガなどの人気アーティストの楽曲を利用可能になる。
テンセントは既に、スポティファイの株式7.5%を保有している。同社の音楽部門のテンセントミュージック・エンタテインメント(TME)は2019年始めに、韓国のKポップ企業のSMエンタテインメントと、楽曲のディストリビューション及びマーケティングで提携を発表していた。
一方、UMG側にとってもテンセントとの取り組みでアジア市場に進出できるメリットは大きい。「当社はテンセントからの出資を受けられたことに感激している。この取り組みでアジアでのビジネスを拡大できる」とビベンディは述べた。
UMG傘下のレーベル、インタースコープ・レコードは2018年後半に韓国の女性グループBLACKPINKと契約し、2019年には米国最大規模の音楽フェスのコーチェラ・フェスティバルにも出演させ、米国での認知度を急激に高めた。
英紙ガーディアンはUMGのルシアン・グレンジCEOが社内向けのメモで社員向けに、今回の買収が日々の業務に与える影響は軽微だと説明したと伝えた。「当社は、引き続き強固なビジネスモデルを維持し、戦略的ビジョンを共有していく」と彼は話した。
米ビルボードによると、UMGの2019年第3四半期の売上は前年比15.7%増で、17億ドルを突破したという。好調の背景にはテイラー・スウィフトの新作アルバムの好調なセールスがあげられる。スウィフトのアルバム「Lover」はビルボード200で初週1位を記録し、1週間で67万9000枚のセールスとなっていた。
テンセントがUMGの株式の取得を画策中であるとのニュースは昨年8月頃から浮上していた。