2020年の命運握る「5G・クラウド・ギグエコノミー」の行方

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2019年の株式市場を牽引したのはアップルやマイクロソフト、グーグルなどの巨大テック企業だった。しかし、投資会社Wedbushの最新レポートによると、今後の勝敗を分けるのは新たなトレンドである5Gやクラウド、ストリーミングへの取り組みだという。

2020年は5Gがスーパーサイクルを迎える年になるとWedbushは予測する。この分野で躍進が期待されるのはアップルだ。

FAANG銘柄と総称されるアップルやグーグル、アマゾンらの成長は続いていきそうだ。なかでも、ヘルスケアや金融関連の事業の急拡大が見込まれている。

この分野では当局の規制が足かせとなる懸念もあるが、事業の分割を迫られるリスクは高くはなく、罰金の支払い程度で済みそうだ。つまり、ビジネスモデルそのものが危機に陥る可能性は低いと、Wedbushは述べている。

テック領域で、新たな上昇トレンドが期待されるのは、クラウドソフトウェア分野で、大手間の競争は加熱している。その筆頭にあげられるのが、総額100億ドル(約1兆円)の米国防総省(ペンタゴン)のJEDIプロジェクトをマイクロソフトが受注したことだ。

Wedbushのアナリストらは、次世代のクラウド戦争の勝者が、ジェフ・ベゾスではなくマイクロソフトのサティア・ナデラになると見込んでいる。

マイクロソフトはOffice 365への注力により、業務メッセージツールのTeamsの覇権を拡大し、競合のスラック(Slack)を厳しい立場に追い込むとWedbushは予想する。

一方、ストリーミング分野では2019年中盤からApple TV+やDisney+などの新たなプレイヤーが参入したが、この分野で2020年に成功を収めるのはディズニーになりそうだ。WedbushはDisney+がネットフリックスの利用者の10%かそれ以上を奪うと予測する。

Wedbush は、2020年のさらに踏み込んだ予想として、カリフォルニア州で議論が沸騰中のギグワーカー法案「AB5」の行く末に注視している。AB5はウーバーやリフト、ドアダッシュなどで働くギグワーカーに最低賃金や健康保険、労災補償などの福祉を受けられるようにすべきであるとする法案で、これが施行された場合、企業は大きな打撃を受けることになる。

収益化に苦戦するウーバーはAB5が施行された場合、大幅な事業縮小に追い込まれる可能性もある。

さらに、クラウド分野の競争もさらなる激化が予想され、GCPと呼ばれるグーグルのクラウド部門が、アマゾンやマイクロソフトに対抗するために、この分野の上場企業を買収する可能性についてもWedbushのアナリストらは言及した。

編集=上田裕資

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