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国際モータージャーナリスト「ライオンのひと吠え」


フランスでは、意見が別れる。彼のようなお金持ちが逮捕され、ごく普通の容疑者と同じような扱いを受けることを喜んでいる人もいれば、国民の中には、日本の司法制度に反感を覚え、今回の脱出にエールを送る人たちもいる。

同国の有力誌フィガロの調べによると、読者の82%がゴーンの逃亡に賛成しているとのこと。アジアタイムズ新聞によると、弁護士が許されない取調べ室で、1日に16時間も続けて尋問され、暖房のない部屋で寝かされたりすると、フランス人の日本の司法制度に対する印象や意見は悪くなるのだろう。

米紙ウォール・ストリート・ジャーナルも、日本の司法制度に鑑みればゴーン被告が日本から脱出したことは理解できると伝えている。

しかし、拘束中の状況が人権蹂躙だと批判されるほどでありながら、制限住居に移ってからは、居場所確認用のGPS アンクレットも着用させず、監視カメラの映像がリアルタイムでチェックされていないということも、何か理由があったのか、ただ前近代的なのか、訝しい。

僕の友人でアメリカ人の弁護士はこう言っている。

「僕からみると、日本の警察がゴーン被告の監視をわざと緩めたのではないかなと思います。やはり、彼を外国に逃した方が日本の時代遅れの司法制度が全世界から注目されないで済みます。その制度はすでに、海外でかなりのひんしゅくを買っていますからね。また、夏に控えている五輪と考えると、日本は世界に良い顔を見せたいはず。こんな長引きそうで批判されそうな国際裁判が開かれると、日本は悪者に見えてしまいますね」

安倍首相本人がゴーン被告の脱出事件についてコメントをするのか、日本政府のレバノンに対する支援がカットされるのかなどを見れば、日本がどの程度この脱出を気にしてるかがわかるし、日本政府も絡んでいるのかが見えてくるかもしれないと、海外は報じている。

これから日本の出入国のガードが厳しくなるはずなのに、あれだけ顔を知られたゴーン被告の出国がなぜ大阪の関空の税関で発見されていないのか。どうしてトルコのイスタンブール空港で到着や出発が記録されていないのか、ますます疑問が湧いてくる。

フランスの新聞は、1月8日にゴーン被告がレバノンの首都ベイルートで記者会見をすると伝えている。「私はようやくメディアと自由にやりとりできるようになった。記者会見を楽しみにしている」のだという。

さて、どんな事実が明らかになるのか。誰が笑うか、誰が恥をかくか、注目だ。

文=ピーター・ライオン

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