クリエイティブなライフスタイルの「種」


──実際にオープンして、売れたのですか?

それがまったく売れず……。最近でこそ、「あっ、ヴィーガンってあのベジタリアンの」というような反応がお客さんから聞けるようになりましたが、当時は「ヴィーガンって?」という状態で。思ったより認知されていないことに愕然としました。

その頃、アメリカでは全人口の約6%の2000万人がヴィーガンなんて話もあって、日本でももう少し認知されているかと思っていたのですが。

でも、ヴィーガンの人たちに口コミで広がったり、東京を中心とした感度の高い人たちがお土産に買ってくれるようになり変わってきました。カフェではヴィーガンのケーキを出しているんですが、グルテンや乳製品、卵などにアレルギーを持った子供たちがわざわざ食べにきてくれたりと、徐々に輪が広がっています。


ヴィーガンとは思えないポップでかわいらしいスイーツ。チョコレートドリンクも人気。

那須で「バターのいとこ」を展開する宮本吾一さんやローマ法王に献上して石川県のお米を世界的なブランドに育て上げた高野誠鮮さんが来られて、「素晴らしい」と言ってくださったり。誰も反応してくれなかったらさすがに心が折れていたと思いますが、刺さる人には深く刺さっているという手応えはありました。

──ヴィーガンのチョコレートって普通のものとどう違うんですか?

例えばミルクチョコの“ミルク”は通常全粉乳を使うのですが、ヴィーガンの場合はカシューナッツの油脂を搾り残った繊維分を脱脂粉乳のように使用します。もちろん動物性の食材は一切使用しません。

ヴィーガンと直接関係はありませんが、砂糖はオーガニックの粗糖を使っていたり、添加物をまったく使っていなかったり。ほとんどの市販のチョコは数種類の添加物が入っているんですが、使わなくてもチョコは出来ます。なぜ使用するのか、否定しているわけではなく、そこに至るまでの経緯や工夫の理由を知りたいと思ってます。

──ご自身もヴィーガンなんですよね。

10年前からヴィーガンに近い食生活ですが、大切にしている線引きとしては「自分で殺せないものを食べない」ということ。そう思うに至ったのは、バイト先の居酒屋でナマコを捌いたことがきっかけでした。

それまでも「なんで豚は食べるのに、犬は家族になるんだろう」という感覚は幼少の頃から持っていたんですが、ナマコを捌く時に生きているものに直接刃物を入れて殺すという体験をして、本当にブルブルって震えて具合が悪くなったんですよ。その時に、「動物ってこんな思いをしないと食べれないものなんだ、こんな思いはしたくない。それなら僕には食べる資格がない」と思い、それから動物性のものは一切食べないという決断をしました。

あと、ミュージシャンや政治的な活動をしている人で、自分が本当に心に響くなと思う人はだいたいヴィーガンやベジタリアンだった。その理由を考えた時に、命のことや政治的な主張をしてても人間目線だけになってしまうから、自分の腑に落とすために動物を食べないのかな、と感じました。

現在は肉や魚肉、それらの出汁は食べませんが、例えば搾乳体験に行き、自分で見て納得した牧場の牛乳であれば飲む、というようなことはあります。

文=国府田淳 

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