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2020.01.08 07:00

ヤフー社長から東京都副都知事に。宮坂学が語る「2代目の仕事」|トップリーダー X 芥川賞作家対談 第1回(前編)

左:上田岳弘|右:宮坂学

「2つ以上の専門分野を持つことの強み」が言われ始めている近年、実業 x クリエイティブで成果を結ぶ新しい才能として、各界から注目を集めている人物がいる。上田岳弘。小説『ニムロッド』で第160回芥川賞を受賞した彼は、文学者としての「クリエイティブな発想」を武器に、最先端のIT企業の経営にも取り組む実業家であることでも知られている。

本企画は、上田が「クリエイティブな発想法」を基にして、社会にイノベーションを起こす各界のリーダーと対談するものである。上田は企画の趣旨を次のように語る。

「実業の世界と文学の世界のいわば『二足のわらじ』を履いている僕と、ビジネス業界の方との対談です。ゲストをお呼びするうえで、3つのカテゴリーを考えています。1つ目はユニコーン候補の伸びゆくスタートアップの方。2つ目は「地方創生」など、規模を抜きにしてエッジの効いた、特筆すべきことをやっていらっしゃる方。3つ目は、いわゆる著名な『ビッグなブランド』を背負って時代の先陣を切ってらっしゃる方、あるいはそういう経験がおありの方。今回は第3のカテゴリーからお越しいただきました」

上田の芥川賞受賞後の第1作『キュー』は、創刊115年を迎える文芸誌『新潮』とポータルサイトであるYahoo! JAPANで、9カ月にわたって同時連載された純文学作品である。これは日本の文芸史では前代未聞のプロジェクトであり、実はこの試みは、当時ヤフーの社長だった宮坂学の発案であった。

昨年9月から東京都副知事という新しい仕事に取り組む宮坂と上田との間で、熱い議論が交わされた。今回はまず前編をお届けする。メインテーマは「ビジネスとクリエイティブの交わり」についてだ。

(後編はこちら)


上田岳弘:ご出身は山口県ですよね。

宮坂学:はい、宇部炭鉱で有名な、山口県の今は周南市という名前になりましたが、防府というところです。あのベストセラー『海賊と呼ばれた男』の主人公である、出光興産創業者の故郷に近いですね。

上田:宮坂さんが『キュー』のプロジェクトを始めようとおっしゃったのは、そもそも、「新聞に連載小説があるのに、Yahoo! JAPANにないのはなんでだろう?」という疑問からと聞いています。もともと本が、そして小説がお好きだとのことですが、子どもの頃から本は読まれていましたか?

宮坂:よく読みました。家があまり裕福ではなかったんですが、本だけはあったんですよ。図書館にもよく連れていってもらえたし。本を読む習慣を親から与えてもらったことにはものすごく感謝しているんです。

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東京都副都知事 宮坂 学氏

上田:最初はどんな本を読まれたんですか?

宮坂:定番の児童文学です。『エルマーのぼうけん』とか『大どろぼうホッツェンプロッツ』とか『長靴下のピッピ』とか。大人になってからは、いわゆる文学作品よりはノンフィクションが好きになりましたが。
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構成・文=石井節子 写真=帆足宗洋 サムネイルデザイン=高田尚弥

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