テオロギスは、いわゆるヘラクレス法(Heracles legislation)のもとで進められているNPL証券化計画についても触れた。この計画により、銀行はNPLポートフォリオの40%を削減できるという。
これはたしかに大きな賭けだと、元銀行幹部のパノス・アンゲロプロスは話している。発行された証券は政府が保証するため、結局はギリシャの納税者が費用を負担することになる、とアンゲロプロスは指摘する。
その一方で、アンゲロプロスの見解によれば、新たに発行された証券への投資は、ギリシャの銀行株に投資するよりも良い選択肢だという。
信用格付け機関は、ギリシャの銀行に対して好意的になり始めている。2019年5月には、フィッチ・レーティングス(Fitch Ratings)がユーロバンク・エルガシアス(Eurobank Ergasias S.A.:ギリシャ3位の金融機関)を格上げ。ピレウス銀行(Piraeus Bank)とアルファ銀行(Alpha Bank)の格付けを再び据え置いた。
6月には、ムーディーズがギリシャの銀行制度に関して、銀行の資金調達や資産リスクの改善が見込まれるとして、前向きな見通しを発表した。「まだ経済状況は厳しいものの、最近の改善が銀行預金の増加につながり、問題のある融資が徐々に減少し、限界利益率が向上する可能性が高い」とムーディーズは述べている。
情報開示:筆者はギリシャの複数銀行の株を所有している。