「米国はサイロシビンを含むキノコの医療目的利用を合法化すべきだ。幻覚キノコは退役軍人のセラピーにも有効だ」とヤンは12月15日にツイートした。彼はその前日に、「退役軍人のPTSD症状を治療する上で、ただ一つ有効なのがサイケデリックな物質だ」と主張するアイオワ州の退役軍人と面会していた。
その後、ヤンはサイロシビンによって安全な鬱病治療が可能だとするCNNの記事を引用し、ツイートした。「人々を勇気づけ、健康的にする物質の利用がもっと自由になっていいはずだ」と、米国大統領を目指す彼は指摘した。
マジックマッシュルームと呼ばれる物質の合法化は、ヤンが提唱する薬物規制改革の最新の事例だ。彼は以前からオピオイドの脱犯罪化を主張し、医療機関の管理下で人々が規制薬物を摂取できる施設を設立すべきだと述べていた。
彼はまた、民主党議員の大半が賛成する大麻の合法化を推進してきた。民主党で大麻に批判的スタンスをとるのは現副大統領のジョー・バイデンや、前ニューヨーク市長のマイケル・ブルームバーグなどの一部の例外のみだ。
ヤンは選挙キャンペーンで、大麻をあしらった帽子やTシャツなどのグッズを販売していることでも知られている。
2019年はサイケデリック物質の解禁が各州で相次いだ年だった。コロラド州デンバーは5月の住民投票の結果、米国で最初にサイロシビンを解禁した州になった。カリフォルニア州のオークランドでも、間もなく同様な決議が採択され、幻覚キノコだけでなく、メスカリンやイボガイン、アヤワスカなどが解禁される見通しだ。
ジョンズ・ホプキンズ大学も研究を開始
シカゴやポートランド、サンタクルーズなど100都市近くで、類似した規制緩和が検討されようとしている。オレゴン州でもサイロシビンのセラピー利用解禁を目指す住民投票の動きが進んでいる。カリフォルニア州では、より広い範囲で幻覚キノコの利用を解禁する運動が始まった。
ジョンズ・ホプキンズ大学は9月に、サイケデリック物質に特化した研究所の立ち上げを宣言した。
ただし、ヤンは以前に「規制薬物の所持や使用に関する罰則の解除を、大麻やオピオイド以外に広げることは考えていない」と話していた。これに対し、彼の民主党のライバルでインディアナ州サウスベンド市長のピート・ブーテジェッジは、あらゆるドラッグの所持を合法化すべきだと主張している。また、ハワイ州選出の民主党議員、トゥルシー・ギャバードも同様のスタンスをとっている。
また、ヤンが退役軍人の鬱病治療のために幻覚キノコの合法化が役立つと主張する一方で、合衆国退役軍人省は(大麻が合法化された州であっても)医師が医療大麻の処方せんを書くことすら、認めていない。