競合にはない「テレアシスト」の強み
遠隔操作は、これまで宇宙探査ロケットやドローンに用いられてきたが、自動運転車に適用したケースは少なかった。グーグルが2016年に立ち上げた自動運転会社「ウェイモ(Waymo)」も、アリゾナ州フェニックスの郊外にある施設で人間の監視員が自律走行するミニバンの管理やアシストを行っているが、遠隔操作は行っていない。
テスラのイーロン・マスクは、競合に先んじて自動運転車を開発して業界のリーダーになると宣言しており、オートパイロットシステムで走行する車両から多くのデータを収集している。そのテスラも、技術者が遠隔から支援するシステムは採用していない模様だ。
Andersonはテスラ時代にオートパイロットの設計に携わった経験を持つが、同社のアプローチについてのコメントは拒否した。
Andersonによると、セルラーネットワークの通信遅延や、遠隔での状況認識の難しさなどから、車両を安全に操作するには多くの課題を伴うという。それでも、車両に搭載されたソフトウェアが進歩するまでの間は、テレアシストのようなシステムを導入することによって、自動運転車の実装を早期に実現することが可能になるだろう。
「我々は、“安全に、迅速に、広範に”というアプローチで自動運転車の実現に取り組んでいる。我々のテレアシスト・システムを用いることで、早く、安全に自動運転車を導入し、社会に変革をもたらすことができる。ただし、システムが正常に機能することを統計的に立証できるまで、慎重に準備を進めたい」とAndersonは語った。