ジャーナリストや人権団体はかなり以前から、収容施設から解放された人たちの証言や政府の調達関連の文書などに基づき、施設の存在を指摘してきた。施設が急速に拡張されていることを示す衛星画像も確認されている。
中国政府は当初、施設に関する報道の内容を否定。だが、反論しきれない証拠が示されるようになると、それらの施設を「職業教育研修センター」と呼び始めた。テロリズムや分離主義を根絶するためには、必要なものだと主張している。
研究者や外国政府などによれば、これらの施設には過去2年の間に、ウイグル人、カザフ人、キルギス人、回族などの少数民族およそ150万人が収容された。解放された人たちの話では、収容所では拷問や虐待が横行し、それぞれの母語の使用や伝統に従った行動を取ることが禁止されたりしている。
さらに、収容者は施設から解放されても、月給わずか100ドル(約1万1000円)ほどでの労働を強いられ、監視され、“洗脳”される。家族の元に戻ることも許されないという。
そうしたなかで今年5月、中国政府の同化政策や強制労働にアディダスやH&M、クラフト・ハインツ、コカ・コーラなどの外国企業が巻き込まれていたことが明らかにされた。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルによれば、各社はこれを受け、自社のサプライチェーンについて調査を行い、特定のサプライヤーからの調達を一時停止するなどしている。
だが、11月になるといわゆる「職業訓練センター」が最初から、(アディダスなどの工場に)少数民族を送り込むプログラムを作成していたことを示す証拠が米紙ニューヨーク・タイムズや国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)などにリークされた。これにより、同自治区で外国企業が事業を行うリスクはより一層高まったといえる。