ビジネス

2020.01.02

メルカリがJリーグに参入した理由──「テクノロジーの時代だからこそ、人間っぽさが大切になる」

(左)アカツキCEOの塩田元規氏 (右)メルカリ取締役会長の小泉文明氏


塩田:確かに。僕がヴェルディに投資しようと思ったのも、ヴェルディの思想をチーム運営に留まらず、もっと多様に表現できるんじゃないかと思ったから。マネジメントを考えるうえでも、サッカーのクラブチームって面白いし、奥深いなって。

小泉:会社としてはサッカーだけでなく他のエンタメにも興味があって、何かやりたいとは思っているんだよね。

塩田:いいですね! 何か一緒にやりましょうよ、マジで。

小泉:でも正直、アソビルとかめちゃめちゃ研究したもん。アカツキの役員会のとき、もうちょっと真面目に内容を聞いておけばよかった、と思って。

塩田:小泉さんなら、いつでもシェアしますよ! でも、個人の「やりたい」って気持ちを大切にするのと、経営者として事業判断するのと、どうやってバランス取ってます?

小泉:みんな大きなビジョンを掲げて、その実現のためにやっているけど、ビジネスの世界はすべての事業が成功するほど甘くないとわかっている。そう考えると、どこかのタイミンングで「これは厳しいよね」とわかったとき、人生の貴重な時間を負け戦に使わせるくらいなら、次にまた他のやりたいことにチャレンジさせてあげたほうがいいと思っているんです。

塩田:メルカリはその意思決定がめちゃくちゃ速いですよね。

小泉:速い。それは結局、お金よりも心を大切にしているからなんだと思います。

塩田:ウチはどうだろう……意外とみんな、マジメなところがあるから、無謀な意思決定にはならないんですよね。

小泉:人は根本的に賢い。

塩田:そう。むしろ賢いから、もっとハートに従ったほうがいいんじゃないかな、って。

小泉:メルカリが「Go Bold」と言っているのも、基本的にはみんな、ロジカルに手を打ちたがるから、バリューにすることで自分たちの常識や価値観をフラットにしてくれているのかもしれない。

塩田:会社って「Go Bold」じゃなくなるエネルギーが強いし、数字面やロジック面は言われなくても意識する。結局は、それでもやるかやらないか、という問いに直面するからね。

小泉:人は基本的に恐怖心が強いし、僕らもたぶん、臆病なの。だからちゃんと算段はつけようという思いが働く。でも、それってワクワクしないし、「もっとこうしたい」という思いと葛藤することになる。よく若手に「みんな、お前のことそんなに見てるわけじゃないから、大丈夫」って言うんですよ。

塩田:分かる。意外とみんな、他人のことを見ていないからね。

小泉:だからチャレンジして、もし失敗したとしても、みんな大して興味ないし、気にしなくていい、っていう気持ちはいつも持っています。まぁ、さすがにアントラーズは責任も重いし、大人にならなきゃな、ってヒシヒシと感じているんだけど……。

塩田:だからって、つまんない大人にならないでくださいよ(笑)

小泉:大丈夫、絶対ならないから(笑)

文=大矢幸世 写真=小田駿一

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