テストには政府機関やセキュリティ企業、通信オペレーターや、メッセージアプリ企業らが参加し、RuNetと呼ばれるロシアのインターネットが独立して動作可能かを検証した。
ロシアはここ最近、「インターネット鎖国」と呼ばれる動きを進めており、11月にはインターネットサービスプロバイダ(ISP)に、トラフィックを一元管理するシステムの導入を義務づける法案「ネット主権法」を施行していた。
ロシア政府は今回のテストで、接続の安定性やモバイル通信のセキュリティ、個人情報の保護が万全であるかを確認したという。また、IoTデバイスのセキュリティについても調査を行った。
ロシア情報技術・通信省のアレクセイ・ソコロフ副大臣は現地メディア「プラウダ」に対し「当局や通信企業は潜在的リスクに対応可能であり、ロシア国内でのインターネットや統合的な通信環境を維持できることが確認できた」と述べた。
今回のテストの目的は、米国などの国外からのサイバー攻撃への準備とされている。しかし、それは表向きの話であり、ロシア政府の本当の意図が中国のようなネット検閲を進め、国民の自由な情報へのアクセスを制限することにあるのは明白だ。
ロシアのISPは既にDPIと呼ばれるパケットのフィルタリングシステムを導入し、通信監督庁のRoskomnadzorがトラフィックを分析可能にした。ロシアはまた、自国版のウィキペディアの立ち上げを進めているほか、来年7月には国内で販売されるスマートフォンにロシア製アプリのプリインストールを義務づける法を施行する。
人権団体のHuman Rights Watchは、この状況を危惧し、次のようにコメントした。「ロシア政府はネット上の発言を検閲するだけでなく、国民に一切説明せずに、ロシアのインターネットを世界から孤立させるツールを手に入れた」