このようなステルスマーケティング(ステマ)と指摘を受けるような事例は(ブロガーが持てはやされた頃から)あとを経たない。なぜステマ問題は度々浮上するのか。そして参考にすべき成功事例とは。
Forbes JAPANが11月号で特集した「インフルエンサーの研究」。50人のトップインフルエンサーを選出し、インフルエンサーという現象を多角的に分析した。そこでアドバイザリーボードをつとめた2人がForbes JAPANの読者イベントで登壇した。
ビジネスパーソンに向け、これからの時代の発信方法について語ったのはクリエイティブ・プランナーでブロガーのまつゆう*こと松丸祐子と、アジャイルメディア・ネットワーク アンバサダーとピースオブケイク noteプロデューサーを兼任するブロガー、徳力基彦。 これからのビジネスシーンでは、個人として、また企業として、個の時代にどうメッセージを伝えるべきなのか。
ステマ問題はなぜ繰り返されるのか
20年以上、インターネットの世界で活動を続けているまつゆう*。2009年ごろから「インフルエンサー」として認知されていた彼女は、2018年末に33万フォロワーのいたインスタグラムアカウントを閉じた。
現在はnoteやツイッターでの情報発信を基軸に、プランニングカンパニー「STEKKEY」のクリエイティブ・プランナーとして、ラグジュアリーブランドや企業のキャンペーン施策、ブランディング等に関わる企画制作も行っている。時にインフルエンサーを起用する際も、目先の数字(フォロワー数やいいね数)だけでなく「個性をいかしたインフルエンサーの起用」を心掛けている。起用される側、起用する側、どちらの立場も理解する彼女の目には「ステマ問題」はどのように映るのだろうか──。(以下、まつゆう*談)
芸能事務所やモデル事務所、マイクロインフルエンサーを束ねている会社の方達のネットリテラシーは、会社や個人によって差があります。会社であればリスクマネージメントに対するケア、個人であれば学ぶ機会の少なさが要因だと思います。
PR表記(関係性の明示)に関して言えば、クライアントや代理店からお願いしない限りつけない方や、お金をいただいていても、それがお仕事だということ自体も書かない方もいます。ブランディングのために、オーガニック投稿風に見せたいという気持ちが大きな要因だと思います。それは企業もインフルエンサーにも共通する問題かなと思っています。
それがやってはいけないことだと知らないからPR表記をしない。向こうが言わないんだったら、みんなやってないしいいんじゃない?というスタンスです。最初はPRとつけていても、あとで消してしまう人もいます。
あまりにもインスタグラムのビジネスが急速に盛り上がってしまったがゆえに、お金を払って宣伝してもらうという広告モデルがまだ未熟で、整備されていません。
企業・代理店からまつゆう*にPR案件の仕事依頼がきても「関係性の明示(PRやGIFT)を書けないのであればお断りします」と何度もやりとりしたこともありました。