ライフスタイル

2019.12.31 10:00

断然コスパが良い、アメリカ旅行、頭の良いコストコ利用術


従業員の笑顔の質が違う

このところ、ますますアメリカ人のコストコ熱は熱くなる一方だ。筆者は、通勤途中にコストコを見下ろす高速道路を走っている。英語でひどい混雑状況を、人でごったがえす動物園を模して「Zoo」と呼ぶのだが、コストコの駐車場こそ、ラスベガスでいちばんのZooであることを車から日々目撃している。

ユーチューブにいくと、コストコでのショッピングアドバイス、「これを買え!」とか、「これを知ってからコストコへ行け」などと、コストコショッピング術が溢れていて、たとえば、値札に、コメ印(*)がついていたら、「在庫処分=絶対お買い得」などと、教えてくれる。

それにしても、なぜ人はコストコで買うのか? キャッシュバックのメンバー制を評価するとしても、もともとメンバーフィーのいらないリアル店舗はいくらでもある。値段は確かに安いが、ウォルマートとどれほど違うのか?

従業員の笑顔の質が違うという指摘がある。コストコの現役の従業員によれば、コストコの給料は他社よりも高く、かつ土日勤務には5割増しの手当てが出るという。従業員割引はないが、ボーナスは手厚いという。

また、倉庫売りだから、たくさん安く仕入れて、あとは並べておけば仕事はお終いという印象があるが、実は20時に店を閉めても、22時までほとんどの社員は店に残っている。その時間に、棚の入れ替えをかなりきめ細かくやり、売れ筋商品の入れ替えを毎日頻繁にやっている。

どこのコストコも同じようなレイアウトだが、商品の仕入れにはマネージャーに大きな裁量があり、この土地ではこういう商品が欲しいという消費者の声が高まれば、マネージャーは仕入れを検討する。

たとえば世界最大のチャイナタウンがあるサンフランシスコのコストコでは、中華料理の具材がたくさん並んでいるし、ラスベガスのコストコであれば、ラスベガスとロゴが入ったTシャツがワゴンセールスに出ている。その都市に大リーグのチームがあれば、チームの豪華カレンダーが(少しシーズンを外れていたら)安く買える。

ただ、これらの地元商品のポイントは、すべて「売り切り」なのだ。大きなロットで買い叩いてきて、それが売り切れたら、もう二度とその商品には会えないと思ったほうがいい。

このように、実は、安いからコストコに行くのではなく、「そこに限定セールがあるはずだから。そして今日は昨日とも違うし、今日買わなかったら明日はもう買えない」というのが、顧客に楽しい消費体験を与えているというのが、なぜコストコが人気なのかの正解のようだ。まさに、一期一会の買い物の緊張感こそ、コストコショッパーを高揚させているのだ。

連載:ラスベガス発 U.S.A.スプリット通信
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文=長野慶太

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