起業家たちが選ぶ「今年の一冊」 2019年に影響を受けた書籍・漫画とは?(前編)

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SmartHR 宮田昇始

・野の医者は笑う(誠信書房)
あのイチロー選手でもメンタルに問題を抱えることはあるそうです。起業家もメンタルに問題を可能性は高く、問題を抱えてしまったら克服する必要があります。その際に、根性論ではなく「技術」で克服することが重要だと思っています。

詳しくは「起業家のメンタル問題に立ち向かう技術」というブログにも書いたのですが、年始にメンタルが不調に陥ったときに、解決の糸口になった本です。漫画をあげるならば、「ブルージャイアント」「ブルーピリオド」「アオアシ」「ドロヘドロ」「天国大魔境」が個人的にオススメです。

クラウドポート 藤田雄一郎

・「言い訳 関東芸人はなぜM-1で勝てないのか」(集英社新書)
ナイツ塙さんが独自の視点で過去のM-1芸人について鋭い考察を試みた一冊。4分間という限られた時間の中でいかに効率的に笑いを起こし、審査員からの評価を勝ち取るか。M-1で勝ち抜くためには技術はもちろん、緻密な戦略、新規性が求められます。昨今、スタートアップが知名度向上、資金調達などの目的でピッチコンテストに出場する機会が増えています。スタートアップのピッチコンテストとM-1は似通った部分も多く、本著の分析は大いに役立ちます。起業家も読んで損ない1冊です。

ONE MEDIA 明石ガクト

・PIXAR 〈ピクサー〉 世界一のアニメーション企業の今まで語られなかったお金の話(文響社)
「コンテンツの面白さ」は経営的な(あるいは投資的な)指標での価値の説明がとてもしづらい領域です。ただネットフリックスやアップつなど、いま世界をリードするグローバルカンパニーは、そこに強みを持ち活用している会社ばかり。しかしコンテンツというものがどんな風に作られ、どのようにブランド化していくのかはブラックボックスに包まれています。この本はピクサーが「何者でも無かった」頃から、どうやってその力を勝ち得たのかが「経営目線」で語られた稀有な本。ジャンルは違えど、動画というコンテンツに向き合っている僕に勇気を与えてくれた1冊です。

GoodMorning 酒向萌実

・女性のいない民主主義(岩波新書)
2019年、読んでよかった本は、日本の政治について「女性の代表が少なすぎる現状は民主主義と言えるのか?」という視点から書いた、前田健太郎著『女性のいない民主主義』 です。12月17日に発表された世界経済フォーラムによる19年の「ジェンダー・ギャップ指数は153カ国中121位と、昨年よりさらに下がりましたが、順位を下げた大きな理由は、女性の政治参加度の低さです。政治分野での順位は144位、世界最低の水準でした。

そのように、権力が男性に集中していることが、男女の不平等という争点が置き去りになりがちであること、女性が抱えている課題の解決が遅れていることの原因のひとつであることを丁寧に説明してある本著から、アファーマティブアクションなど、ジェンダーバランスに偏りのない政治を実現することの重要性を学ぶことができました。
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構成=新國 翔太

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