【独占】市川海老蔵がテクノロジーに見出した可能性、なぜ伝統文化との融合を?


ワントゥーテン代表の澤邊芳明は、ジャパネスクプロジェクトを立ち上げた経緯について、つぎのように語る。

「極限まで高められた工業化と人工知能の普及により、ますます先進国の人々は可処分時間つまり暇を増やしていくものと考えられ、退屈という新たな課題が人々を押し潰そうとしています。忙しさに慣れてきた現代日本人は、それが苦手なのかもしれません。

消費される時間ではなく、熟成されるべき時間を生み出したい。グローバリゼーションの中で均一化された欧米の価値観ではなく、異質な東方の国、日本から先進国の課題解決のヒントが見出せるのではないかと考え、このプロジェクトは生まれました。

鎖国中の江戸でなぜ文化が熟成されたのか?など、日本人としての価値観を改めて覗いてみることで、解決への新発見があると考えています。」(澤邊)

両者が共同でプロジェクトに取り組むのは、今回が初ではない。ワントゥーテンは前述した、『源氏物語』の「イマーシブ(没入型)プロジェクション」の制作・演出を手がけており、市川海老蔵とタッグを組むのは2度目となる。ジャパネスクプロジェクトのエグゼクティブアドバイザー就任について、市川海老蔵はこう語る。

「2020年には東京オリンピック・パラリンピック競技大会が開催され、世界中の方々が日本にいらしてくださいます。期間中、日本人はもちろん、海外の方々をおもてなしするために、サービス・飲食・交通機関など様々な分野での心遣いが必要です。

その中で、日本の最先端技術でできるエンターテイメントをお見せできるのは本当に素晴らしいことだと思います。また、皆さんに喜んでいただけることが何より嬉しいので、エグゼクティブアドバイザーとして力になれるのであれば、一生懸命努めてまいります。また、これからプロジェクトが進んでいき、様々なアイディアや構想が生まれていったときに、澤邊さんとなら具現化できると思っています。」(海老蔵)

伝統文化の世界に身を置き、テクノロジーについて考えてきた市川海老蔵と、テクノロジーの世界に身を置き、伝統文化について考えてきた澤邊芳明。そんな両者は日本の伝統文化の可能性、そして2020年以降の日本をどう捉えているのだろうか──。
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文=新國翔大 写真=小田駿一

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