自分が自分の上司となり、勤務時間も自分で決められるのは、表面上は素晴らしいことだ。自分が情熱を傾ける分野であれば、それが仕事であるという感覚すらないだろう。さらに、大成功を収めて、老後の心配がなくなる可能性もある(ただし、その可能性に頼るべきではないが)。
では、誰もが起業するわけではないのはなぜか? 問題の多くは、資金にある。億万長者であれば好きなだけ自分のビジネスに投資できるだろうが、ほとんどの人はそのような財力がない。米国では、中間層の貯蓄額の中央値はわずか1万1700ドル(約130万円)となっている。
だからといって諦めてはいけない。しっかりとしたプランを立て、適切なビジネスタイプを選びさえすれば、たとえ元手が100ドル(約1万円)に満たなかったとしても起業できる可能性は大いにある。
起業にあたって絶対に必要なもの
起業に際して必要なものは、立ち上げる事業の種類によって変わってくる。独自の商品を製造・販売するビジネスの場合、製造設備(あるいは製造パートナー)が必要になる。さらに、部品の調達先や、販路も必要となる。
もしも立ち上げるビジネスが、犬の散歩代行や家庭教師、ベビーシッターなどのサービスであれば、基本的な備品さえそろえれば、あとは絶対に必要というものはない。コンサルティングや財務・会計のように高度なサービスの場合でも、利益を維持するのに必要な資格やソフトウエアの種類によっても変わってくるものの、コストを低く抑えることは可能かもしれない。
以下に、起業に欠かせない検討項目をカテゴリー別に挙げる。
・登記・申請など
まずは規則に従った登記・申請作業が必要になるだろう。例えば米国で合同会社(LLC)を始めようとした場合は、納税者番号を取得してから登記申請する必要がある。これらの費用は一般的にそう高くはないが、事業内容の複雑さに応じて費用はかさむだろう。
・拠点
オフィスを賃貸しようとすると多額の費用がかかるが、その必要がない場合もある。所在地は自宅に設定してもよい。また、ハウスクリーニングや訪問介護など、自宅や他人の家でできるビジネスもある。インターネットのおかげで、どこに本社所在地があるかはさほど重要ではなくなってきている。
・設備・備品
必要な設備や備品にかかる費用は、ビジネスの内容によってさまざまだ。大規模な製造業の場合は生産設備に多額の投資が必要とされる一方で、手持ちのパソコンとインターネット接続環境さえあれば成り立つビジネスもある。