ブルームバーグ候補、選挙応援電話を「刑務所に外注」が発覚

マイケル・ブルームバーグ / Getty Images

2020年の米大統領選で民主党の候補指名獲得を目指す、マイケル・ブルームバーグの選挙事務所は、電話による投票依頼作業を外注していたが、委託先が刑務所内の受刑者に作業を発注していたことを認めた。

ニュースサイト「インターセプト(Intercept)」がこの問題を報じた後、ブルームバーグ陣営は問題の外部企業との契約を終了した。12月24日の記事によると、オクラホマ州の刑務所の女性受刑者らが、ブルームバーグ陣営の電話がけ作業を受託していたことが、匿名筋の情報で明らかになったという。

インターセプトによるとブルームバーグ陣営が業務を委託した外部企業が、ニュージャージー州のコールセンターProComに仕事を依頼したという。ProComは2つのコールセンターを運営しており、その一つがブルームバーグの業務を受託していた。

受刑者が受け取った報酬の額については不明だが、月あたりの賃金がわずか20ドル程度だった可能性もある。

インターセプトからの指摘を受けて、ブルームバーグの広報担当のJulie Woodは、「問題の存在を把握していなかった。事前に知っていたなら、業務を発注していなかった。このような行いは信じがたいものであり、我々は問題の外部企業との関係を終了させた」と述べた。

ProComは声明で次のように述べた。「当社は受刑者らに適切な職業トレーニングを与えている。受刑者らは身につけたスキルを用いて、収監中に報酬を得るだけでなく、出所した後に有利なポジションに就ける」

声明でProComは、オクラホマ州に対し、コールセンター業務の最低賃金を支払っている点を強調した。しかし、受刑者らが実際受け取る報酬額がいくらになるのかは定かではない。

刑務所問題を扱うメディアPrison Legal Newsの編集者は、インターセプトの取材に対し、ProComが刑務所に作業を外注していることを知らなかったとしても、ブルームバーグ陣営には責任があると述べた。作業を外注する場合、委託先で実施されるオペレーションに対しても監督責任があるというのが編集者の意見だ。

ブルームバーグと民主党の指名獲得を争うフリアン・カストロは、今回の問題について自らの刑事司法改革ポリシーに触れつつコメントした。「私は民営の刑務所を廃止し、受刑者らに公正な賃金を支払うことを提案している。司法制度改革には、企業の利益を追求するのではなく、人々をケアする姿勢が必要だ」と彼はツイートした。

フォーブスはブルームバーグの保有資産を520億ドル(約5.7兆円)と試算している。彼は民主党で最も裕福な大統領候補者だ。ブルームバーグはBloomberg LPを1981年に設立し、前ニューヨーク市長を務めていた。

ブルームバーグは自己資金のみで選挙活動を展開し、他の全ての候補者らを上回る費用を、テレビ広告などに投じようとしている。同じく民主党のバーニー・サンダースやエリザベス・ウォーレンらは、ブルームバーグが富の力で票を操ろうとしていると非難している。

編集=上田裕資

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