ビジネス

2019.12.31

ベルリンの起業家らが語る混迷の「電動キックボード」戦線

ベルリンの通りに集まった電動キックボード(hanohiki / Shutterstock.com)


米国のスタートアップの無責任さ

「我々はマイクロモビリティの将来性を信じて疑わないが、まだどの企業にも出資できていない」と彼女は述べた。スタートアップが事業開始から数カ月で数千ドルを調達してしまうと、アーリーステージに特化した小規模なVCには手が出にくくなる。出資するタイミングが遅れると、評価額が大きくなり過ぎて小さな持分しか獲得できない。

早く出資をしても、大手VCが1億ドルを超える金額を提示するため、後回しにされるという。「マイクロモビリティは多額の資金を必要とするビジネスであり、我々のような規模のVCが投資回収するのはとても困難だ」と彼女は述べた。

米国企業が欧州市場に参入する中、TierやVoiなどの地元企業は結束を固めようとしている。5月に行われた別のカンファレンスで、欧州の電動キックボード企業「Flash」の共同創業者であるCarlos Bholaは、「LimeやBirdは無責任に行動する」と米国企業を批判した。

同じカンファレンスで、Haasの上司であるTierのCEO、Lawrence Leuschnerも米国企業がキックボードを短期間で廃棄していることを批判した。欧州勢は一致団結して、米国企業のBirdやLime、ウーバーを撃退しようとしている。

「我々は戦っているのではなく、競争をしているのだ。これは100メートル走ではなくマラソンのように長丁場のレースだ」とHaasは語った。

現状、パリはTierやVoiらとの対話に前向きだが、ロンドンのサディク・カーン市長はそうした姿勢を見せていない。HaaSとHjelmは、カーン市長と直接対話ができる日が近い将来訪れることを期待しているという。

編集=上田裕資

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