ビジネス

2019.12.26 07:00

次世代の起業家25名のトレンド予測! 2020年、社会はどう変わるか?(後編)


ラブグラフ 駒下純兵

・2019年の振り返り
C向けプロダクトに関して言えば、ブランドに投資する会社が増えた1年だったと見ています。ブランドという言葉を使ってしまうとふわっとしてしまいますが、要するに「信頼されるプロダクトになる」ことが毎年多くのサービスが生まれる現代に置いては重要な勝ち筋だと各社見ていると思います。

信頼されるためのアプローチとして、市場を縦に深くに切ったバーティカルC2C、プロダクトへの想いを創業者がSNSでストーリーテリングを行うD2C、オフラインイベントなどの開催で作り上げる「コミュニティ」などは全てブランド作りの一環だと捉えています。

良いものを手に入れたい人向けのスニーカー特化C2C「モノカブ」が現れたり、「ミスターチーズケーキ」のようにシェフの想いや多くの人が買っている現実をSNSで伝えたり、メルカリが「みんなのメルカリ文化祭」といったユーザー参加型のイベントを開くことである種の人間らしさを作っていくのも全ては「信頼をされるプロダクトになる」ために行っていると思っています。ユーザー視点で機能価値を大きな差として見せづらいサービスは情緒価値をどう生み出していくかが重要になってきたのではないでしょうか。

・2020年のトレンド予測
事業領域は特にこだわりはないのですが、「便利なものではなく、意味のあるもの」を作る会社が増えると良いなと思っています。キャッシュレスが進んだり自動運転で移動が便利になったりすること自体は大歓迎なのですが「便利になることが人の幸せに繋がっているのか」という問いに対してはまだYesと胸を張って言えないのではないかと感じています。

ブランドは健全な宗教と近いものがあると考えていて、ブランドの伝えるメッセージが人の価値観に良い影響を与えたり、心の拠り所になったりすることもあります。「どんな価値を提供するか」ではなく「どんなメッセージを伝えるか」ということが多くの人の生活に影響を与えうる我々起業家が目を向けなければならない時代に差し掛かっていると思います。

まだまだブランドの資金調達環境は説明の難しさから厳しいのが現状ですが、2020年には多くの人から愛されるブランド、ひいては会社を作る起業家がたくさん増えると良いなと思っています。

Spectra 露木修斗

・2019年の振り返り
2019年は大きく3つの領域が注目された1年だったと考えています。2018年ごろから引き続きトレンドのあったSaaS、大きな産業向けのバーティカルなtoB事業、インスタグラムの浸透によるD2C事業の3つです。

SaaSの領域ではSmartHRさんの61.5億の資金調達をはじめとして、直近ではLeanerさんやA1Aさんなどの調達に注目が集まりました。大きな産業向けのバーティカルなtoB事業でいうと製造業の受発注プラットフォームCADDiさん、製造業向けカタログ・マーケットプレイスのアペルザさん、中古トラック売買プラットフォームを運営するAzoopさんなどの急成長も報じられました。

また、toCの領域ではD2Cが非常に盛り上がったと思います。アパレルをはじめとし、サプリ、ペットフードなど多角的に展開が広がり、また周辺作業では実際に物を売るだけでなく、パッケージ制作やコスト削減のようなサービスの展開も広がったなと感じました。

・2020年のトレンド予測
2019年に引き続き、大きな産業向けのバーティカルなtoB事業(DX)には注目をしています。先ほどあげた3社以外に、様々な戦い方で大きな産業に向けたサービスを展開する企業が増えていくのではないかなと考えております。

金融業界ではLayerXさん、生鮮食品EC・小売の領域の10Xさん、漫画・出版業界のアルさんなどはその筆頭格になるのではと思います。必ずしもBtoB向けのプラットフォームなどから事業展開をするのが正解ではなく、各業界向けの産業への入り方・浸透の仕方があると私自身は考えており、それは必ずしもSaaS、マーケットプレイスなどではないのかなと考えております。

上記の3社はライセンス事業やtoC向けアプリ事業からのスタートではありますが、最終的には向かう先は同じなのではないでしょうか。よって、引き続き大きな産業向けのバーティカルなtoB事業(DX)の新しい戦い方が定義され始める1年になると考えております。

GITAI 中ノ瀬翔

・2019年の振り返り
宇宙分野が盛り上がり、ロボット分野が陰りを見せた1年だったと思います。宇宙分野ではNASAが約50年ぶりに人類を再び月面に送り月軌道宇宙ステーション建設と月面基地開発を行うアルテミス計画を発表し、JAXAも参画を表明する等、国際的に宇宙機関が月面探査に舵を切る動きが活発化しました。また、民間企業も米国の宇宙スタートアップを中心にロケットや人工衛星の開発・打ち上げが活発化した1年でした。一方、ロボット分野では国内外で大型調達をしてきた著名スタートアップが連続して倒産するなど、まだまだロボットの市場化のハードルの高さが明らかになった1年だったと思います。

・2020年のトレンド予測
宇宙分野が引き続き活発化すると考えています。すでにレッドオーシャンとなっているロケットや人工衛星分野では淘汰が始まる可能性が高い一方、月資源採取を目的とした月面探査に向けた動きが宇宙機関・民間企業を通してより活発化すると考えています。

編集=Forbes JAPAN 編集部

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