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2019.12.26

次世代の起業家25名のトレンド予測! 2020年、社会はどう変わるか?(後編)

ヤフーによるZOZOの買収、LINEとの経営統合。そしてSansanやBASE、freee、マクアケなどスタートアップの上場が相次ぐなど、さまざまな動きがあった2019年。

起業家たちは今年の動向をどう振り返り、2020年のトレンドをどう予測しているのか──Forbes JAPAN編集部は起業家にアンケートを実施。その結果を紹介する。(前編はこちら


ミラティブ 赤川隼一

・2019年の振り返り
ソーシャル・エンタメ関連スタートアップ視点では、「エンタメが混ざり始めた2019年」と表現しています。ネットフリックスの「バンダースナッチ」(動画とゲームの融合)、クオリティ課題は出ていますがユーチューブ「STADIA」(クラウドゲーム)、あるいはゲーム「Fortnite」上で1000万人超が見たMarshmelloの音楽ライブ(アバターを着た状態でライブを見る体験でもあった)……。

5G、クラウド、XR、インタラクティブといったキーワードのもと、21世紀のエンタメは混ざり、そして新興国を含めて急速に拡大し始めています。アニメやドラマの制作元がネットフリックス・アマゾンなどの大資本に移り、お家芸だったゲームの日本市場が中国勢に席巻された時代。王道的なコンテンツは資本およびその背景となる世界市場との向き合い・勝負から目をそらすことはできず、一方でD2C/Shopify/Patreon等に代表される「個人のエンパワーメント」というインターネット的原理の加速もミクロサイドでは起こっています。資本集約と、一方でGAFAMへの一極集中のカウンターという構図が明確化した1年だったとも見ています。

・2020年のトレンド予測
「常時接続化」の関連領域。5Gの本格普及が始まることで、インターネットの「上り」の概念がいよいよ劇的に変わる年になると考えています。「上り」を全く意識しなくなる時代の幕開けであり、先行事例的な象徴として日本の10代に定着した位置情報つなぎっぱなしアプリ「Zenly」のように、常時接続がいよいよ本格化します。(弊社Mirrativも「ゲーム体験」の常時接続化によるつながりの創出をやっている会社です)

低遅延は「距離のゼロ化」というインターネットの原理に沿った進化でもあり、「たかがインフラ速度」がもたらす変化は、「たかが画面サイズ」と初期誤認されていたスマートフォン級の変化をもたらすはずです。わかりやすいところでは動画関連がますます伸びる、さらにインタラクティブになる、ということが起こりますが、それだけには当然留まらない劇的な変化が静かに顕在化しはじめる1年になると思います。インフラの変化は既存の事業領域に新たな隙間を生み、その隙間がまず初期的にハックされ、結果、徐々に事業デザインと人のマインドセット・常識そのものが変わっていく、という歴史がまた繰り返される瞬間をとても楽しみにしています。

Anyplace 内藤聡


・2019年の振り返り
弊社、Anyplaceにとって2019年は、「拡大」の1年でした。サンフランシスコからスタートした事業は、現在では15カ国43都市で利用可能で、米国外のユーザーにも利用されています。世界中の人に利用されるプロダクトに向けて一歩踏み出せた感覚があります。来年は、ヨーロッパや東南アジアを中心に、さらにプロダクトを拡大させていく予定です。

シリコンバレーでは、2019年はIPOラッシュで、UberやZoom、Pinterestなど多くの企業が上場を果たし、過去10年間を彩ってきた未上場のスタートアップの時代にひとつの区切りがついた印象があります。一方で、WeWorkやAwayのCEOの辞任など、コーポレート・ガバナンスや企業文化が業界で注目された1年でもありました。ベン・ホロウィッツが企業文化について書いた、新著「What You Do Is Who You Are」が今年発売され、2020年には日本語版も出版されるとのことです。

・2020年の予測
2020年は、ポッドキャストに注目しています。AirPodsのようなワイヤレスのイヤホンの普及により、ながら聴きの時間がより増えていくと予想されます。それに伴い、音声コンテンツのニーズが高まり、ポッドキャスの世界からもより多くの有名ポッドキャスターが誕生すると考えています。

英語圏で一番人気のポッドキャスト「The Joe Rogan Experience」のホストのJoe Roganは、100%自分のオーナーシップで運用しているポッドキャスト経由で、年間50億円以上収益を上げているらしいです。ユーチューバーより儲けるポッドキャスターが今後も生まれてくると思います。

SHE 中山紗彩

・2019年の振り返り
ブランドプロデューサー的なスキルセットを保有した(女の)方がスタートアップ的に事業(会社)立ち上げをする事例が増えた1年だったと思っています。

ゆうこすさん、小島陽菜さん、山賀琴子さんを初めとしたインフルエンサーの方の既存のブランド力を生かした顧客獲得の事業立ち上げ事例から、cohinaやDailily、u_omotesando、などもっとジェネラルな課題解決や魅力訴求を図る事業立ち上げ事例まで、様々な“プロダクトブランド”のスタートアップが女性初で立ちあがり、ミレニアル女性ならではの起業スタイルのひとつとして、確立された1年になったと思います。

・2020年のトレンド予測
上記のような起業スタイルの勃興により、より“ブランデッド”なスタートアップ立ち上げを支援するパートナーが増える1年になると思います。もう少し噛み砕いて話すと、“ブランデッドな事業立ち上げを支援するスタートアップスタジオ”の要素が(まだ一貫提供できるところはないものの)増えている気がします。

D2C領域の女性起業家を投資サポートするポーラ・オルビスホールディング社、デジタルクリエイティブスキルを学べる弊社SHEなどがそうです。個人的には、スモールBをサポートするそれは既に沢山あるが(クラウドファンディングやオンライン販売プラットフォームなど)もう一段上の、それをビジネスとしてスケールさせたいと願う起業家のパートナーはまだまだ整備されてないと思うので、次年度以降、加速されていけばいいなと思います。
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編集=Forbes JAPAN 編集部

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